位置情報を利用したロケーションベースの広告配信プラットフォームを運営しているエックスアド・ジャパンは3月31日、日本国内の事業を4月以降に本格化させ、セルフサービス型で広告を登録、配信できるユーザーポータル「MarketPlace」の試験運用を4月から開始すると発表した。2016年第4四半期の正式リリースを予定する。
エックスアド・ジャパンは、米xAdが2015年6月に設立した日本法人。2016年1月から日本国内でロケーションベースの広告配信サービスを提供している。消費者が使っているスマートフォンの位置情報に応じた適切な広告を、スマートフォンのアプリケーション画面に配信するサービスだ。例えば、焼き肉を食べている人に消臭剤の広告を見せるといったことができる。
2016年1月に国内でサービスを開始したが、これまでは依頼ベースで広告を登録、配信するしかなかった。4月に試験運用を開始するMarketPlaceでは、ポータル画面を介してセルフサービスで広告を登録、配信できるようになる。ポータル上で「来客数を伸ばす」などキャンペーンの目的を選び、配信する広告画像を登録し、配信ターゲットを指定できる。
xAdのサービスの特徴は、位置情報の判断精度が高いことだ。「ファーストフード店の店内にいるのか、近くを通りかかっただけなのかが分かるので、それぞれに合わせたメッセージを届けることができる」と、米xAdで最高マーケティング責任者(CMO)を務めるMonica Ho氏は強みを説明する。「今いる場所や移動行動の違いによって、表示すべき広告は異なる」(Ho氏)
「xAd Blueprints」と呼ぶ、高精度な地図情報を作成して維持している。特定の商業施設について、駐車場のエリアや建屋のエリアなど、複数のエリアに分割してデータベース化しておくものだ。これにより、スマートフォンアプリケーションが送信してくる位置情報(GPSの緯度経度情報など)が商業施設のどの部位にあるのかを判別できる。
緯度経度に加えて高度まで通知するアプリケーションは現状ではほとんどないが、xAdが構築している店舗データは、ショッピングモールの2階にある店舗と3階にある店舗を区別できるという。
これに対して、位置情報を活用した従来のサービスは、住所の情報をもとにしているため、今いる商業施設をピンポイントで特定できないなど、精度が悪かった。
Ho氏は、これまでのマーケティングの問題点を「購入行動の一部しか観測していなかった」と指摘する。これまで分析してきたEC(電子商取引)サイトや商品情報サイトといったオンラインのデータは、消費行動全体から見れば氷山の一角。「現実の小売販売では、購入行為の90%は、実店舗などのオフラインで発生している」(Ho氏)
エックスアド・ジャパンでカントリーマネージャーを務める安里勇吾氏は、今後の事業の成長について、「検索連動型やソーシャルネットワークに次ぐプラットフォームとして、オフラインのロケーション広告に予算が付くようになる」と期待を寄せる。
2019年時点を予測した市場調査データによると、ロケーション広告は2019年までに米国広告市場の43%を占めるという。また、ロケーションを使うアプリは、現在の28億件から2019年の75億件へと3倍に増えるという。
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