セキュリティ研究者が、Appleユーザーを標的とした史上初のランサムウェアとみられるものを発見した。これは実際に出回っているため、真の脅威となるものだ。そして、ダウンロード愛好者にとって悪いことに、このランサムウェアはBitTorrentクライアントソフトウェアを介して広がっている。
問題のマルウェアは米国時間3月4日に初めて検出された。Palo Alto Networksの研究チームが、Appleの「Mac」用OS「OS X」向けとして人気のあるBitTorrentクライアントがランサムウェアに感染していることを発見し、これを「KeRanger」と名付けた。感染していたBitTorrentクライアントの「Transmission」は、MacユーザーがOS Xにインストールし、それを使っていわゆるトレントスウォーム内の共有ファイル(多くは海賊版コンテンツ)にアクセスするものだ。
Macを標的にしたランサムウェアをセキュリティ研究家が発見したのは今回が最初ではない。Kaspersky Labsは2014年に発見しているが、そのソフトウェアは当時、完全なものではなかった。
KeRangerの発見は、ついにOS Xプラットフォームでも本当に危険なランサムウェアが登場したことを意味する。
「これは実際に出回っている初の(Macを標的とした)もので、確実に機能し、ユーザーのファイルを暗号化して身代金を要求する」と、Palo Alto Networksのスレットインテリジェンス担当責任者Ryan Olson氏は6日、Reutersに述べている。
ユーザーが感染したバージョンのTransmissionをインストールすると、ソフトウェアに埋め込まれた実行ファイルがシステム上で実行される。最初のうちは何の兆候もないが、インストールから3日後、KeRangerが匿名のTorネットワークを通じてサーバに接続し、Macのシステム上にある特定ファイルの暗号化を開始する。
「暗号化が完了すると、KeRangerは被害者に、ファイルを取り戻すための特定のアドレスに対して、1ビットコイン(約400ドル)を支払うよう要求する。また、KeRangerは現在も開発が進行中とみられ、『Time Machine』のバックアップファイルも暗号化して、被害者がバックアップデータを復元できないようにしようとしているようだ」と、Palo Alto Networksの研究チームは報告している。
Palo Alto Networksのチームは3月4日、AppleとTransmission Projectの両者に通知している。同チームによると、通知を受けたAppleは、KeRangerが悪用していたセキュリティ証明書を失効化し、自社のアンチマルウェアツール「XProtect」をアップデートしたという。Appleはこの件についてのコメントを拒否した。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス