Appleのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントを務めるCraig Federighi氏は米国時間3月6日、The Washington Postに寄稿した記事の中で、「iPhone」にバックドアを設けると、Appleのセキュリティは3年前の水準に後退してしまうと主張した。
2015年12月にカリフォルニア州サンバーナディノで起きた銃乱射事件に関与したテロリストの1人が所有する「iPhone 5c」のロックを解除するようFBIがAppleに要請し、両者は法的に対立している。Federighi氏のコメントは、そうした問題をめぐる最新の動きだ。FBIと米司法省が、同端末には重要な手がかりが含まれている可能性があると主張する一方で、Appleは、iPhoneのセキュリティを意図的に解除すれば、Apple製品を使用する全てのユーザーのオンラインセキュリティに影響を及ぼしかねないと述べている。
この問題に対し、GoogleやMicrosoftはAppleへの支持を表明しているが、米大統領選の共和党指名候補を目指すDonald Trump氏は Apple製品のボイコットを呼びかけている。
しかし、Appleのソフトウェアチームにとっては、これは勝つか負けるかの厳しい戦いで足場を失わないためというシンプルな問題である。
「われわれのチームは、個人情報を詮索し、さらには端末を利用してわれわれすべてを危険にさらすより広範囲にわたる攻撃を仕掛けるようとする犯罪者よりも、絶えず一歩先を行かなければならない」とFederighi氏は寄稿文に記した。「悲しいことに、そのような脅威は時の流れとともにさらに深刻かつ高度になる一方だ」(Federighi氏)
Appleのファンが同社に対して前年と同じ仕様の新型iPhoneを発売することを望まないのと同じように、Appleのセキュリティチームも旧式のセキュリティでは満足しないとFederighi氏は述べた。
Federighi氏によると、Appleのエンジニアチームが懸命に維持に取り組む防御策はまさに、Appleの端末からマルウェアを排除し、機密データを悪の手から守るためのものだという。
「システムに侵入して機密ネットワークを破壊しようとする犯罪者やテロリストは、たった1人のスマートフォンへのアクセスを通して攻撃を開始する可能性がある」と同氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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