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ロボットは「味方」か「脅威」か--Pepper、RoBoHoN、ルンバの担当者が議論 - (page 2)

25年以上の歴史を持つロボット掃除機「ルンバ」

 ロボット掃除機「ルンバ」や、床拭きロボット「ブラーバ」などを開発したiRobot(アイロボット)は、1990年に創業された会社。人型ではなく、目的を遂行するためのロボットを数多く開発している。「人が行う、つまらない、汚い、危険な仕事はロボットが解決する」をコンセプトに、家庭用や政府・産業向けロボットを提供してきた。

ロボット掃除機「ルンバ」や、床拭きロボット「ブラーバ」などを開発したiRobot(アイロボット)
ロボット掃除機「ルンバ」や、床拭きロボット「ブラーバ」などを開発したiRobot(アイロボット)

 アイロボットの日本正規総代理店であるセールス・オンデマンドの徳丸氏は、「家庭用ロボットは世界で1400万台以上販売されている。つまり、東京の人口と同じぐらいの数の家庭用ロボットが、世界の家庭で使われている」と話す。

ロボットに親しみを持たせるには?

 今後の家庭用ロボットの普及にあたっては、人々がロボットに対して親しみを持てるかどうかが重要になる。ソフトバンクロボティクスの吉田氏は、「いかに生き物だと思ってもらえるか。そのためには自律、成長、感情の3つが必要だ」と語る。

 「『自律』とは、電源を切っても動いたり、命令に背いたりするなど、我々の命令ではない動きを指す。『成長』はユーザーのことを覚えて変わっていくこと。そして、もっとも大切なのは『感情』。我々の感情を理解できること。かつ、ロボットが感情を持っていると感じられるようにすること。Pepperにはバッテリが少なくなるとイライラする、知っている人が近づくと喜ぶなどの感情が組み込まれているため、存在感がある。この辺りは、人間が物事をどう認識するかというサイエンスの分野だと考えている」(吉田氏)。

 シャープの景井氏は改めて、愛着を持って話しかけてもらうためには、姿形とコミュニケーション設計が大切だと話す。「(人々は)小さいものには愛おしさを感じるため、RoBoHoNの外観は小さくした。デザインはロボットクリエイターによりかわいらしく、そして人型にすることで話しかけやすさを実現した。コミュニケーション設計については、ユーザーが何を話しかけたらいいか分からないということを防ぐため、電話をベースにして設計した。声やセリフも外観に合わせて制作し、発話と動作、目の動きがぴったり合うように調整した」(景井氏)。

 セールス・オンデマンドの徳丸氏は、ルンバは人型ではないにも関らず、人々から親しみを持ってもらえていると話し、その要因として吉田氏と同様に自律を挙げた。「ルンバはちょこまかと一生懸命掃除する姿がかわいらしいと言われる。12年ほど販売しているが、初期の頃にあるユーザーが顔を描いてかわいがっているという話を聞いて、目や口のシールを作ってみたが必要なかった。自分たちの家族の一員として、名前をつけている人が多い。これは日本特有の文化なのかと思っていたら、米国でも過半数を越える家庭がニックネームを付けていた。自律型で一生懸命やっている姿に共感するのは世界共通だと感じている」(徳丸氏)。

個人向けロボットには手厚いサポートが必要

 ソニーが1999年に発売した犬型ロボット「AIBO」は、2014年に修理サポートを終了し、ユーザーである“飼い主”たちから悲しみの声が挙がった。愛着を持つロボットへのサポートは、通常の家電とは異なるものが必要かと想像する。その点について、パネリストはどう考えているのか。

 「柔軟に対応していくサポート力が大事」と徳丸氏 「柔軟に対応していくサポート力が大事」と徳丸氏
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 ルンバの販売実績が長い徳丸氏は、「サポートには想定外のことが起こる。ロボットだからすべて任せていいと考えて内部のゴミを捨てていなかったり、ペットの粗相を掃除したり。柔軟に対応していくサポート力が大事」と話す。

 Pepperは法人向けと一般向けでサポートが異なるという。「法人については仕事を継続させるため別のロボットに交換するが、一般向けは“入院”という形で預かり、同じロボットを返却する。うちの子を治して返してくれという要望がある」(吉田氏)。

 これからRoBoHoNの発売を控えているシャープは、同社のしゃべるロボット掃除機「COCOROBO」のサポートを参考に検討を進めている。「外観の傷ついたCOCOROBOを綺麗に直して返却したら、クレームが入ったことがある。サポートは非常に注意すべきところだと考えている」(景井氏)。

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