NTTドコモ、日本電信電話、東日本電信電話、西日本電信電話、NTTコミュニケーションズ(NTTグループ)は3月2日、石油連盟と「災害時の重要施設に係る情報共有に関する覚書」について指定公共機関として初めて締結したと発表した。
この覚書は、大規模災害などが発生した際の「災害時石油供給連携計画」に基づく、政府を通じた石油の緊急供給要請において、石油連盟の会員会社である石油元売会社からNTTグループの通信サービスを復旧・維持する上で重要な施設へ、石油供給注を円滑かつ確実に遂行するために交わされたもの。
重要施設の給油に係る情報を、平時より石油連盟とNTTグループ各社間にて共有し、円滑かつ確実に緊急的な石油供給が実施されるよう備えるという。
東日本大震災発生時は、通信サービスの復旧・維持を実施するために必要となる石油に関して、通常調達ルートからの供給が困難だった。そのため、国を通じて緊急石油供給の要請を受けた石油連盟(石油元売会社)により、NTTグループの施設を含む被災地などへの石油供給が実施されたが、施設側の貯蔵タンクの注入口とタンクローリー側で保有するホース先端の緊結金具の型式が合致しないなどの諸問題が発生し、円滑な石油供給に支障があったという。
この教訓を踏まえ、円滑かつ確実に緊急的な石油供給が実施できるよう、給油に係る情報を共有するために「情報共有に関する覚書」を石油連盟とNTTグループの間で締結することになったという。なお、同覚書は石油連盟とNTTグループ各社が個別に締結する。
また、NTTドコモは、地震や津波の被害によって発生する通信障害からの早期復旧を目的に、地震科学探査機構が研究する地殻変動から地震の場所と時期を予測する「地震予測システム」の実証実験への協力と、基地局に設置した高性能カメラから津波の被災状況を監視する「津波監視システム」の運用を3月4日に開始する。
地震予測システムの実証実験への協力では、衛星測位機器を用いて地殻の変化を捉える装置を全国16カ所の携帯電話基地局に設置し、収集した地殻変動のデータをモバイル通信にてリアルタイムに地震科学探査機構に提供する。
全国16カ所の設置場所は、北海道(釧路市周辺、えりも町周辺、足寄町周辺)、東北(青森県外ヶ浜町周辺、岩手県陸前高田市周辺、山形県村山市周辺)、関東甲信越(神奈川県三浦市、茨城県土浦市周辺、長野県茅野市周辺)、北陸(福井県福井市周辺)、東海(三重県志摩市)、関西(和歌山県串本町周辺)、中国(鳥取県鳥取市周辺)、四国(高知県土佐清水市周辺)、九州(福岡県福岡市周辺、宮崎県宮崎市周辺)。
地震科学探査機構は、NTTドコモが提供するデータを解析することで、研究する地震予測システムの精度の向上に取り組み、リアルタイムデータによる地震予測サービスの提供を目指すとしている。
NTTドコモによると、地震の場所と時期の予測精度が向上することで、移動基地局車や電源設備などの準備を事前に行えるなど、災害時の復旧体制強化に活かせる可能性が高まるという。
津波監視システムは、津波発生時の沖合の様子を監視するカメラを全国16カ所の携帯電話基地局に設置し、津波発生時の沖合の海面の様子を確認できるというもの。遠隔でカメラを操作し、基地局の通信設備の被災状況も確認できるという。NTTドコモは、設置基地局周辺の被災状況を把握することで、基地局設備の復旧作業に生かす。この運用により、津波監視のノウハウを蓄積することで検証・評価をし、同システムのさらなる改良や運用・活用方法についても検討するとしている。
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