NTTドコモは9月29日、機械翻訳事業を行う合弁会社「株式会社みらい翻訳」の設立について合弁契約を締結したと発表した。
10月に設立予定で、資本金は9億9000万円。出資比率は、NTTドコモが51.0%、韓国のSYSTRAN INTERNATIONAL(シストラン)が30.0%、フュートレックが19.0%。代表取締役社長には、NTTドコモ執行役員 R&D戦略部長の栄藤稔氏が就任する。
NTTドコモ、シストラン、フュートレックの3社は新会社に社員を派遣し、高精度な機械翻訳技術とソフトウェアを開発する。従業員は15名程度を見込むほか、新会社では技術エンジニアの募集を行い、体制の充実を早期に図るとしている。
目指すのは、「言語バリアフリー」の実現だ。2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会を見据えたもの。新会社設立当初は英語、中国語、韓国語を中心に、将来的にはベトナム語、タイ語、インドネシア語等の言語も対象にし、個人や企業向けにソフトウェアやサービスを提供していくとしている。
栄藤氏は「さまざまな形でコミュニケーションができる時代になっても大きな壁が残っている。それが言語の壁。年間1600万人が海外へ渡航するが3分の1はアジア地区。しかしどれだけの人が韓国語や中国語を話せるのか。日本には月間100万人の観光客が訪れるが、われわれどれだけ外国語が話せるか。日本人のTOEICの平均スコア512点で、48カ国40位に留まる。おもてなしができるレベルに至っていない」と現状の問題点を説明する。
携帯電話を通じた翻訳サービス「はなして翻訳」の提供実績を持つドコモと翻訳ソフトウェア業界最大手のシストラン、音声認識・翻訳システムの開発に豊富な実績を持つフュートレックの3社に加え、技術支援として総務省のグローバルコミュニケーション計画を推進する独立行政法人、情報通信研究機構(NICT)、多言語翻訳エンジンと日本電信電話(NTT)の日本語解析処理に基づいた機械翻訳技術を併せて活用する。「これらを一つのバケツにいれて、世界最高レベルの機械翻訳のサービスを提供するのが狙い」(栄藤氏)。
現在の日本における人手を介した翻訳・通訳市場規模は2500億円(2014年)。それに対し、機械翻訳はまだ12億円程度という。「2500億円市場の一部を取っていくことを考えているが、今ある市場をとっていく発想だけではなく、機械翻訳があれば開拓できる市場がある。機械翻訳の精度が上がれば、新たな市場が見えてくるはず」(栄藤氏)と説明する。
現在の機械翻訳のレベルはTOEICのスコア600点程度。2016年までに700点以上(一般企業の国際部門社員に求められる水準)を目指すほか、日本語と中国語、日本語と韓国語も同程度のレベルを目指すとしている。
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