Appleが、Frederic Jacobs氏を雇用した。同氏は、国家安全保障局(NSA)を内部告発したEdward Snowden氏愛用の暗号化チャットアプリ「Signal」の「iPhone」版と「Android」版の開発に貢献した主要な開発者の1人だ。
Jacobs氏は、ベルギー生まれのプライバシー擁護活動家で、暗号技術に詳しいプログラマーだ。同氏は、2016年夏にインターンとしてAppleに加わり、「Core OS」セキュリティチームで働く。Jacobs氏は米国時間2月25日、Appleで働くことを「Twitter」で発表した。
Core OSは、「OS X」と「iOS」を構成するレイヤーで、iOSでは、iPhoneが外部のハードウェアと接続する際、アプリのセキュリティ管理に利用されている。
Jacobs氏はインターンにすぎないが、AppleがiPhoneの暗号化をめぐって米国の国会や法執行機関から激しい圧力を受けているタイミングで同社に加わる。このこと自体、暗号化でいかにiPhoneのセキュリティを強化できるかという点にAppleが大きな関心を払っていることを示している。
Appleは、裁判所命令をめぐって米政府と激しい闘いを繰り広げている。裁判所命令では、米連邦捜査局(FBI)がiPhoneのパスワードによるセキュリティ機能を回避できるよう、Appleが特別なバージョンのiOSを開発することを求めている。
裁判所命令は、ユーザーによるパスコード入力がなくてもAppleがiPhoneにアップデートをインストールできるサポート機能を利用しようとするものだ。だが、The New York Timesは24日、Appleがこの抜け穴をふさぐ方法に取り組んでいると報じた。この抜け穴をそのままにしておけば、今後も裁判所命令が出された場合、それに従うことが技術的に可能になってしまうからだ。
Open Whisper Systems(OWS)が開発したSignalは、セキュリティが特に徹底したメッセージングアプリの1つとして広く認められている。電子フロンティア財団(EFF)の評価システムでは、「設計のセキュリティ」と「第三者によるレビューに対するオープン性」の2項目で最高得点を取っている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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