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“実質0円”廃止や料金引き下げの影響は--携帯キャリア3社の決算を読み解く - (page 2)

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“実質0円”自粛が今後の戦略に不安を与えるKDDI

 各社ともライトユーザー向け料金プランの提供は3~4月となっているが、先に触れた通り、端末の実質0円以下での販売自粛は、2月よりすでに始まっている。そのため、2月に入って決算を発表した2社からは、その影響についても聞くことができた。

 2月9日に2015年度第3四半期を発表したKDDIは、売上高が前年同期比3.8%増の3兆2990億円、営業利益が11%増の6724億円と、こちらも好調な決算を記録している。その要因は通信料収入の拡大だ。従来の傾向と大きく変わっていないようで、継続的な成長を見せている。

 実際、総合ARPA(Average Revenue Per Account。利用者1人当たりの売上)は前年同期比2.8%増の6160円と、通信ARPAがけん引する形で伸ばしている。スマートフォンの浸透率の高まりや、1人当たりのモバイルデバイス数の拡大などによって、通信料収入を増やしているようだ。

通信ARPAの拡大が、業績の拡大に寄与している傾向は継続しているようだ
通信ARPAの拡大が、業績の拡大に寄与している傾向は継続しているようだ

 しかし、そうした好調な業績を見せながらも、決算発表会におけるKDDI代表取締役の田中孝司氏の表情は冴えない様子であった。その原因は、端末の実質0円販売自粛による影響が、店頭で如実に現れていることにあるようだ。

 実際、田中氏は2月に入ってから「(auショップへの)来店数は大幅に減っている」ことを明かした。具体的には、2割程度の客数が減少しているとのこと。「1月末の駆け込み需要による先食いの影響が落ち着いた後に追えるようになるのではないか。現時点では読めないというのが偽らざる認識」とのことで、どの程度の減少幅で落ち着くのかはまだ見通せない情勢のようだ。

 しかも、KDDIにとってはショップへの来店数が減少することが戦略上大きな問題となってくる。というのもKDDIは2015年より、auショップ内でタブレットを使い、買い物が楽しめる「au WALLET Market」を展開している。この施策は、ショップ内が混雑し、契約などの手続きを待つ顧客に向けたものとなっており、昨年末に全国2500のauショップで本格展開を始めたばかりだ。

「au WALLET Market」は昨年末に全国展開を開始したばかりだけに、端末の実質0円販売自粛でショップから客足が遠のくことが、戦略にダイレクトに影響してくる
「au WALLET Market」は昨年末に全国展開を開始したばかりだけに、端末の実質0円販売自粛でショップから客足が遠のくことが、戦略にダイレクトに影響してくる

 その本格展開の直後に、端末の割引減少でショップへの来客数が急激に落ち込んだことから、新たな成長の柱として位置付けていたau WALLET Marketの先行きが急速に怪しくなっている。そうした側面からも実質0円販売の自粛は、今後のKDDIにとって大きな悩みの種となる可能性があるといえそうだ。

 また総務省の要請によって、新たに提供される「データ定額1(1GB)」の影響に関して、田中氏は「3月からの提供を予定しているため今期にはほとんど影響は出ない」と話す。しかしながら、来季に関しては「足元の市場動向がだいぶ変わっているので、何とも申し上げられない」と話すなど、こちらも先行きが不透明な様子を見せている。

KDDIもライトユーザー向けに「データ定額1(1GB)」を提供し、通話準定額制の「スーパーカケホ」との組み合わせで月額4900円を実現するが、実際の提供は3月からとなる
KDDIもライトユーザー向けに「データ定額1(1GB)」を提供し、通話準定額制の「スーパーカケホ」との組み合わせで月額4900円を実現するが、実際の提供は3月からとなる

 そうした総務省要請による業績への影響を跳ね返す上でも、注目されるのが今後の戦略だ。田中氏はこの点について、「今期は3年間の中期計画の終わりに当たる。来年の本決算発表時に次の中期計画を発表し、その時目指すものを示していく」と話している。「3M戦略」で大幅な成長を遂げてきたKDDIだが、一層の成長に向け新たな戦略が問われる時期に来ているのは、確かなようだ。

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