ファーウェイ、2016年の「SIMフリー」日本戦略--呉代表に聞く

 1月初旬に米国・ラスベガスで開催された家電・ITの総合見本市「CES 2016」。そこでファーウェイは、スマートフォンのフラッグシップモデル「Mate 8」や、新たな10インチタブレット「MediaPad M2 10.0」を発表した。

 新製品の日本市場における展開や、2015年末に巻き起こった総務省の料金引き下げ議論などを、ファーウェイはどのように考えているのだろうか。ファーウェイ・ジャパンのデバイス・プレジデントである呉波氏に、SIMフリー市場を主体とした2016年の日本市場戦略について聞いた。

ファーウェイ・ジャパンのデバイス・プレジデントである呉波氏
ファーウェイ・ジャパンのデバイス・プレジデントである呉波氏

「HUAWEI WATCH」は予想を上回る好調

 グローバルでスマートフォンの販売シェアを伸ばし、GFKのデータでは2015年10月時点で世界3位のシェアを獲得している中国のファーウェイ。日本でも2014年6月にSIMフリー市場に参入して以降、多くのSIMフリースマートフォンを投入し、積極的に市場を開拓する姿勢を見せてきた。

 呉氏は、現在の日本のSIMフリー市場について、「爆発的に盛り上がっている訳ではない」と見ているようだ。しかし、そうした中でも、ファーウェイはSIMフリー市場で非常に良い業績を残すことができたと呉氏は話す。

 今後のSIMフリー市場を考える上で、注目されるのは携帯キャリアに対するキャッシュバックの抑制だろう。2015年末に巻き起こった料金引き下げの議論によって、総務省から携帯電話料金の引き下げに関するガイドラインが打ち出され、「ゼロ円販売」など端末代の過剰な値引きを自粛するよう要請がなされている。

 キャリアの端末代値引きが抑えられることは、SIMフリー端末を多く手掛けるメーカーにとっては有利な要素となるが、呉氏は「影響はあるが、限られたものになる」と分析している。また、一連の総務省の動きの影響によって「30~50%程度の成長は見込める」と捉えているようで、2016年も引き続き販売拡大に向けて取り組む方針を示している。


日本でのHUAWEI WATCHの販売は予想以上の好調だとのこと。写真は女性向けのHUAWEI WATCH新モデル「HUAWEI WATCH Jewel」

 では、2015年下旬に発売され、大きな注目を集めたスマートフォン「Mate S」と、ウェアラブルデバイスの「HUAWEI WATCH」の販売状況はどうか。呉氏によると、特にHUAWEI WATCHの販売が好調で、「予想をはるかに上回る状況」とのこと。一方、Mate Sに関しては、SIMフリー市場で初めてのハイエンド製品となることから、「ローエンドのように一気に伸びるのではなく、安定した伸びを示している」という。同社の予想通りに販売は推移しているそうだ。

日本の「dtab」をベースにタブレットをグローバル展開

 ファーウェイは、2016年のCESに合わせて4つのモデルを発表している。中国ではすでに発売されている最新のフラッグシップスマートフォン「Mate 8」の世界展開と、ペン操作や音響に注力した10インチのタブレット「MediaPad M2 10.0」、女性向けのデザインを取り入れたウェアラブルデバイス「HUAWEI WATCH Elegant/Jewel」、そして「Nexus 6P」の新色となるマットゴールドモデルだ。


6インチディスプレイを備えたハイエンドスマートフォン「Mate 8」。日本は発売当初の販売国には含まれていない

 中でも同社が注力していたのはMate 8だが、当初の販売対象国に日本は含まれていなかった。その理由について呉氏は、「日本のSIMフリー市場は規模が限られており、日本に投入する機種同士が競争状態に陥ってしまうことがある。それゆえ日本ではコストパフォーマンスや販売タイミングなどを考慮して、一番適した製品を選んで販売する」と説明した。

 性能的に近いハイエンドモデルのMate Sを日本で投入した直後だけに、現在は適切な販売タイミングではないと判断したようだ。ただし、販売の可能性が全くないわけではないようで、時間を空けて投入される可能性もありそうだ。

 Mate 8以外の機種はすべて日本向けにも投入されるとのことだが、特に注目されるのはMediaPad M2 10.0である。この端末は、実はすでに日本でNTTドコモから発売されている「dtab d-01H」がベースとなっており、これに指紋認証センサやペン操作などの機能を追加してグローバル展開するモデルなのだという。


「MediaPad M2 10.0」は、NTTドコモ向けに提供されている「dtab d-01H」をベースに機能を強化し、グローバル展開されるモデルだという

 そのため、本体サイズやデザイン、そしてharman/kardonの技術を取り入れた音響技術など、d-01Hと共通している要素も多く、「実は(MediaPad M2 10.0が)一番最初に発売されたのは日本だ」(呉氏)という。なお、MediaPad M2 10.0は日本ではSIMフリー向けに投入するとのこと。ドコモ以外のキャリアから発売される可能性について、呉氏は「今は答えられない」と話すにとどまった。

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