MediaPad M2 10.0は、日本向けのモデルをカスタマイズしてグローバル展開した事例だ。では、日本向けにカスタマイズしたモデルを積極的に投入する考えはあるのだろうか。この問いに対し呉氏は、「弊社は3大キャリアと付き合いがあり、スマートフォンだけでなくタブレットやキッズ向け、フィーチャーフォンなど、幅広いカテゴリの製品を提供している。そうしたキャリア向けの取り組みで、日本市場に適した製品を継続的に開発していく」と答えた。
SIMフリー市場向けは独自ブランドで日本の消費者に合ったものを選んで投入するが、キャリアのODMとして国内向けにカスタマイズした端末を開発・提供する取り組みも続けていくとのことだ。呉氏によると、2016年もハイエンドからローエンドまで、幅広いスマートフォンやタブレット製品を投入していくとのこと。ただし、日本のSIMフリー市場は、海外のオープン市場と異なる部分が多いことから、市場開拓のためには端末を増やす以外の取り組みも必要だとした。
中でも今後必要な要素として、呉氏が挙げているのが店舗のカバレッジを強化することである。「SIMフリー市場を開拓するには、消費者が店頭でSIMフリースマートフォンを比較検討できることが大切だ」と呉氏は話す。店舗で実際に手に取ってもらい、品質やユーザー体験を実感してもらうことが大事だと考えているようだ。
そしてもう1つは、アフターサービスの強化だ。ファーウェイは10年近く日本市場に取り組んだ中で端末品質の重要性を感じ取り、「品質第一」の姿勢を掲げてきたという。しかしながら、日本においてSIMフリースマートフォンは「格安スマホ」として注目された経緯があることから、安かろう悪かろうなイメージを抱く消費者もいる。
ファーウェイではそうした認識を変えてもらうべく、Mate Sより、故障品の発送から修理品の配送までを無料で提供するサービスを開始したという。端末の品質だけでなくアフターサービスに一層力を入れることで、“格安”のイメージを払しょくして消費者の信頼を得たい狙いがあるようだ。
SIMフリー市場では高い存在感を発揮するファーウェイだが、そもそもSIMフリー市場自体が拡大しなければ、今後の成長の見込みも薄い。商品の充実と販路拡大、サポートの充実によってSIMフリー市場自体の信頼を高めることが、市場拡大につながると呉氏は考えているようだ。一連の取り組みでファーウェイが日本でどこまで存在感を高められるかは、2016年のSIMフリー市場における大きな注目ポイントといえそうだ。
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