Twitter、2016年は「緊張感をもって臨む」--笹本代表インタビュー

 テレビドラマの感想や、ワールドカップの試合結果、さらには事故現場の実況など、世界中で起きている出来事をリアルタイムに知ることができるSNS「Twitter」。いまや、多くの人々にとって欠かせない情報発信・収集サービスとなっているが、そうした状況でも、Twitter Japan代表取締役の笹本裕氏は「危機感を持っている」と楽観視はしていない。

 日本における2015年のTwitterの取り組みや、ジャック・ドーシー氏のCEO復帰、競合サービスとの差別化、収益の柱である広告施策などについて聞いた。

Twitter Japan代表取締役の笹本裕氏
Twitter Japan代表取締役の笹本裕氏

--2015年はTwitter Japanにとって、どのような1年だったのでしょう。

 Twitterでは日本単体の数字は公開していないのですが、おかげさまで一定の占有率を築くことができました。その一方で、次の変革を起こさなければならない時期にも直面していると思うので、2015年はそこに向けた調査を続けてきました。また、常に市場の声を聞きつつテストをして修正を重ねながら、徐々に進化させていった1年だったと思います。

 2015年は日本発の機能として、「話題のニュース」が一覧できるサービスを立ちあげましたが、これが非常に好評でした。また収益については、アプリダウンロードの広告ビジネスが好調で、これを引き続き伸ばしていくことに加えて、今後はビデオ広告にも注力したいと思います。他社もビデオのプラットフォームを出してきているので、この市場でも存在感を示していきたいと思っています。

2015年6月末に提供を開始した「話題のニュース」
2015年6月末に提供を開始した「話題のニュース」

--笹本氏は2014年2月にTwitter Japanの代表取締役に就任して、まもなく2年が経ちます。組織づくりをどう進めてきたのでしょう。

 Twitterはとにかく動きが早いので、本当はあっという間に2年が過ぎましたと言いたいのですが、もう4~5年いるような感覚ですね(笑)。新しいものが出てくるスピードがあまりにも早くて量が多いので、それを自分の中で消化するのに時間がかかっているなと思いますし、その結果が出るスピードも早いので、感覚的には日数が早く過ぎている気がします。

 組織的には急激に人数が増えていますし、2015年はオフィスも移転して、環境面も整ってきたと思います。また、ある程度社員が増えてくるとメンバー間で方向性がズレてきたりすることもあると思うのですが、有難いことに弊社ではTwitterに愛がある人ばかりなので、目指す方向性がブレません。そういった意味で恵まれた環境にいると感じています。

 また会社自体がオープンなカルチャーなので、良くも悪くもみんな辛辣に意見を言ってくるんですね。これは米国本社もそうなのですが、よくそんなことをCEOに言うなみたいなことを言ってきます。逆にそれがいい刺激になっていて、必ずしもすべての話が通るわけではないですが、会社やサービスにとってプラスになることをやろうと語れる場があることは、Twitterのカルチャーだと思いますし、大切にしたいと思います。

--2015年10月には共同創業者だったジャック・ドーシー氏がCEOに復帰しました。日本において影響はありましたか。

 本当の意味で変わるのはこれからだと思うのですが、ジャックがCEOになったことでファウンダーとしての魂みたいなものが再びTwitterに出てきていると思うので、彼がTwitterを本来あるべき姿へとさらに成長させてくれると思います。また、日本はTwitterにとって初の海外オフィスだったので、ジャックにとっても日本には特別な思いがあると思います。彼がCEOに復帰する直前に日本に来ていたのですが、その時にTwitterの利用状況やデジタル環境について意見交換をして、私自身すごく彼にインスパイアされました。

 日本はおそらく世界で一番サーチ(検索)をしている国です。米国だとわりと一辺倒なサーチをすることが多いのですが、日本ではテレビ番組や電車の遅延情報など、幅広い内容についてサーチをしています。2015年には投票機能をリリースしたのですが、ストーリー展開を投票機能によって変えていくみたいな使われ方をしていた漫画家の方がいて、ジャックも驚いていましたね。もっと日本から新たな使い方のイノベーションが起こることを彼も期待してくれていると思います。

--日本では「Instagram」や「LINE」、さらに「MixChannel」などのサービスが存在感を高めています。その中で、ユーザー数が飽和状態とも言えるTwitterはどのように差別化していくのでしょう。

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