Twitter、2016年は「緊張感をもって臨む」--笹本代表インタビュー - (page 3)

 これはあるクライアントの話なのですが、ものすごくテレビ広告やデジタルに予算を投下されていました。マスに打って出て、さらにデジタルで補完して、最後に店頭に連れていくというマーケティングファネルなのですが、彼らが抱えていた悩みはすべてが途切れてしまうということでした。

 そこで我々は、Twitterだったら出来ると思いますというお話をさせていただきました。従来だと、テレビCMの続きはサーチすることが一般的でしたが、それだとCMを見た人だけなので1体1の関係ですよね。でも、TwitterならCMの内容がユーザー間で会話になると1対多数になるんです。

 そして、実際に検証をしたところ非常に良い結果が出ました。CMを見た方がその内容について会話をして、そのブランドを認知したということが分かったのです。さらに良かったのが、CMは見ていないけれどTwitterのタイムラインでそのCMに対する会話を見て、ブランドを認知したという方も少なからずいたことです。つまり、テレビ以外の人にもリーチできたということで、マーケティングファネルとしては健全なものができました。


 一方で、Twitterで見た会話で製品を購入したくなったり、店頭へ行ったりしたかどうかをリサーチされた会社も数社ありました。世の中で話題になっているものが可視化されると、人間の心理として行動に移したくなるという仮説はあったのですが、実際に多くの企業が検証されてそれが正しかったことも分かったので、すべてのマーケティングファネルの中で、Twitterのポジショニングはあるねと。

 そもそものTwitterの成り立ちがテキストで、そこにストーリーがあるとリツイートされると思うのですが、ここにビデオを組み込むことでリツイートがさらに加速します。そうした視点から、多くのブランド企業にさまざまなTwitterのマーケティング機能を活用していただけた1年だったので、2016年はそこをさらに強めていきたいですね。

--ソーシャルメディアでは、広告などが表示されると拒否反応を示すユーザーも多いですが、Twitterでは広告にもストーリー性を持たせることで、受け入れられやすい状況にしていると。

 それに加えてアルゴリズムも進化させています。反応の悪い広告は、当然ながらユーザーには不快なものなので表示させないようにしていて、これは広告主にとってもユーザーにとってもいいことだと思います。これほど厳しくそのアルゴリズムを守っているのは、広告収益の事業会社では珍しいと思いますね。

 当然ながら我々は上場企業なので、売り上げにはこだわり収益をあげていかなければなりませんが、その部分は絶対に守るようにしています。タイムラインは僕らではなくユーザーの持ち物だというカルチャーがあるので、そこは広告と触れ合ってくださるという意味で、大きく貢献しているのではないかと思います。

--Twitterの広告を利用する場合のKPI(重要業績評価指標)は何になるのでしょう。

 KPIはいろいろあります。CPA(顧客獲得単価)やCPV(広告視聴単価)など数字で表せる部分もありますし、ブランド認知や購買意向が上がったかということもそうですね。そこは企業の目的によって違うと思うのですが、すべてに共通して言えるのは、エンゲージしたかどうかということです。適切なクリエイティブとターゲティングを組み合わせることで、エンゲージをすごく高めることができます。

タイムライン上で動画を自動再生に変更 タイムライン上で動画を自動再生に変更
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 Twitterにおけるエンゲージの定義としては、まずはタイムラインでの動きが挙げられます。スクロールせずに止まって見ているか、ただ止まるだけでなく「いいね」をするのか、リツイートをするのかなど、どういったアクションをしているかということです。その中で、2015年はビデオをオートプレイ(自動再生)に変えました。これには賛否両論がありましたが、オートプレイによってしっかりビデオを見ていただいて、それがリツイートされたりすることで、結果的にはブランドの認知につながっていくと思います。

 必ずしも、(動画が)すべての時間見られなければ認知が上がらないというわけではありません。ある調査で、人が広告に触れていられる忍耐時間みたいなものが、10年前は20秒くらいだったらしいのですが、今は8秒まで短くなりましたと。つまり、それだけ人々の広告に対する忍耐力は短くなってきているので、自動再生で最初の3秒でも動画を見せることに対して、価値を感じてくださっている企業も多いのではないかと思います。

--2016年はTwitterにとって、どのような1年にしていきたいですか。

 先ほど申し上げたことの総括になりますが、ユーザー利用とビジネス(収益)の両面において、緊張感や危機感を持って臨みたいと思っています。おかげさまで、日本では非常に多くの方にTwitterを深くご利用いただいていますが、このままでいいとは全然思っていなくて、何らかの形で大きな進化をしていかないといけません。収益面も非常に好調で、特にモバイルアプリのダウンロード事業が大きく収益を牽引しました。ただし、未来永劫それでいいわけではありません。ビデオ領域を含めていろいろな施策を進めていきたいと思います。

2016年は「緊張感をもって臨む」と笹本氏 2016年は「緊張感をもって臨む」と笹本氏
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 日本はデジタルリテラシーが高く、新たなビジネスが日々生まれています。当たり前ですが、皆さん日本の会社なので、日本のマーケットに根ざしたビジネスをどんどん推進されている。それを考えると全然うかうかしていられません。2015年にやったことを捨てることはありませんが、気持ち的にはゼロリセットで臨まないと負けてしまうと思っていて、いい意味で社内的にも温度感が上がっています。

 この先、Twitterが企業として10年、20年、30年と継続した時に、恐らく2016年を振り返ると、転換期になる1年なんじゃないかと個人的には思っていて、繰り返しになりますが緊張感をもって臨みたいですね。

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