人気ライブ配信者「たくぽん」さんに聞くファン作りのコツ

井指啓吾 (編集部)2016年01月02日 11時30分

 ライブ配信サービス「TwitCasting(ツイキャス)」の人気配信者(キャス主)の1人が「たくぽん」さんだ。最大で5000人超が同時視聴するというライブ配信がきっかけとなり、現在はファッション誌の専属モデルとして活躍している。当初、女子中高生を中心にファンを集めていたが、最近では男子中高生からも人気を得ており、たくぽんさんの髪型(通称:たくぽんマッシュ)を真似する人も多いという。

 ライブ配信時の心構えやファン作りのコツについて、たくぽんさんに聞いた。

たくぽんさん
たくぽんさん

--ツイキャスを始めたきっかけは。

 普段あまり使っていなかった「Twitter」を数カ月ぶりに開いた時に、ツイキャスを見つけて「なんだこれ! 動いてる!」と驚いたのが最初です。リアルタイムで、一度にみんなに(動画や音声を)伝えられるすごいアプリだと思い、ダウンロードしました。

 ツイキャスを始めてからの最初の一カ月は、リスナー数が0と1と行き来している感じでした。誰かが(配信ページに)来るまで、ずーっと、じーっと待って、きたら「あ、よろしく!」みたいな(笑)。

 当時は朝8時頃から、主にまだ誰もやっていなかった「ヘアセット」の配信をしていました。女子からは「男子が髪型をセットする姿を見るのは楽しい」とウケがよくて、逆に男子はそれを見てヘアセットを勉強する、という感じです。その時に、たまたまオススメ欄(ツイキャス運営側が番組を自動でピックアップするコーナー)に載って、一気にリスナーが増えました。そこから見てくれる人が増えたと思います。

--あまり見られていなかったという最初の1カ月間は、配信するモチベーションをどのように維持していたのでしょうか。

 会話ができるので(リスナーはテキストでコメントができる)、最初は楽しかったです。でも、途中からつらくなってくるんですよね(笑)。

 「どうしてこんなことをしているんだろう?」という葛藤が生まれ、「やめようかな。そろそろ飽きたな」という時に、(番組がオススメ欄に載って)リスナーが一気に来て、それから注目してくれる方が増えました。そこからは、人がいる中での楽しさというか、配信中にコメントがもらえる楽しさを感じられて、続けていました。タイミングと運がよかったです。

--リスナーが増えると、配信の仕方が変わってくるのでしょうか。

 昔からの自分を見せつつ、プラスアルファとして新たな試みも始めました。ヘアセット枠に加えて、女子が喜ぶ妄想枠をしてみたり、雑談を面白くしてみたり、「Skype」などで凸待ち(リスナーや他配信者から連絡が来るのを待つ)をしたりなどです。

 妄想枠というのは、ここで言うのは恥ずかしいんですが、恋愛漫画のワンシーンを再現するものです。リアルタイムでリクエストをもらって、アドリブでしゃべります。たとえば「幼馴染の女の子に卒業式で告白」というお題をもらったら、卒業式の日という設定で音楽を流しながら、「ちょっと待てよ。俺、実はお前のことが……」とか、そういうのを配信しています(笑)。

--たくぽんさんにとって、リスナーはどんな存在ですか。

 「戦友」です――どちらかというとリスナーの方が僕よりも立場が上です。いまこうやって仕事ができているのも、基本的にはリスナーがいるからこそです。まだ自分には価値がない状態で、いま価値を持っているのはリスナーの皆さん。リスナーが価値を持っているから、僕が仕事に呼んでもらえる。いまは「頑張るから応援してください」という思いです。

たくぽんさん

--最近では企業や団体がツイキャスを使うことも増えています。もともと知名度があれば別ですが、どうすれば有効な配信ができるか、アドバイスをいただけますか。

 まず、ある程度人を呼ぶ。で、オススメ欄に載る。初見さん(そのユーザーの配信を初めて見る人)は、「この配信は何をやっているんだろう?」と一回は見るんですよ。そこで「面白いか面白くないか」や「顔の良しあし」を判断する傾向にあるので、そこを押さえるべきだと思います。

 基本的には、リスナーに求められていることをやればいいのかな、と。私も配信内容によって視聴数が変わりますが、やっぱり、ヘアセット枠や妄想枠などみんなが好きなものが一番伸びます。何をやればいいのかは配信者それぞれですね。

--ファンを作るコツや、配信時に気を付けていることはありますか。

 やっぱり、リスナーの皆さんを大切にすることです。そして、新しい自分をどんどん見せて「いつまでもついて来いよ!」という姿勢を見せる。それと「テンション」。無理やりやらない、適当にやらないことです。

 「流れを読む」のも大事です。ツイキャスは、曜日や時間帯によって配信者、配信内容が大きく違います。時間帯ごとの傾向を分析していますが、学生が長期休みの間は、どの時間帯に配信しても反響がよかったのですけれど、それ以外は、大体20時から24、25時までがよさそうです。深夜3時くらいまで配信しても意外と見てもらえますが、その時間帯の配信が次につながるかというと、必ずしもそうではないんです。

 たとえば、22~24時頃にかけて配信した場合と、24~翌2時にかけて配信した場合では、後者はまずTwitterのフォロワー数もそこまで伸びないし、見てくれるのは大体常連のリスナーです。そのため、新たなリスナーにたくさん見てもらうには、夜遅くに無理をして配信するよりは、次の日に賭けたほうがいいと勝手に思っています。

 早い時間帯で面白い話をして初見さんをつかみ、夜遅くまでの配信で常連さんと仲を深める、といったイメージです。

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