「作られていないコンテンツ」から交流が生まれる--ツイキャス運営の赤松代表

井指啓吾 (編集部)2016年01月03日 11時30分

 企業が「動画配信」時に“コミュニケーション”を重視するようになってきている――ライブ配信サービス「TwitCasting(ツイキャス)」を運営するモイの代表取締役である赤松洋介氏はこう話す。特にツイキャスが使われた音楽や映画などのプロモーション事例では顕著で、プラットフォーマーである赤松氏がその成果に手応えを感じるものも多いという。ライブ配信サービス市場の動向や、ツイキャスの今後のビジョンを同氏に聞いた。

モイ代表取締役の赤松洋介氏
モイ代表取締役の赤松洋介氏

--企業がツイキャスを活用するケースが増えています。

 もともと企業にご利用いただくことはそう多くありませんでしたが、最近、タレントなどが使うようになってから、企業も使う動きが出てきました。

 これまで、企業が「動画配信」に取り組む際には、“配信”に重きを置いて「いかにこれまでと異なる形でプロモーションをするか」を考えるケースが多かったのですが、それが徐々に“コミュニケーション”に変わってきています。

 単に画質のよいコンテンツを配信するのではなくて、あえて“作られていないコンテンツ(ライブ配信の場合には、台本がきっちりと固められておらず、ユーザーのコメントによって次の展開が変わるようなもの)”で視聴者とコミュニケーションをとりながら楽しめるものを提供し、その中で商材などをアピールしていく、といった形です。

--チケットなどが販売できる「キャスマーケット」を企業がより活用しやすいようにする予定はありますか。

 もちろん、企業にキャスマーケットを使っていただきたいとは思っています。ただ、企業が販売するものは、ツイキャスのユーザーのみを対象としたものではありません。全部が全部、キャスマーケットで売れてしまったら、それはそれで企業としては問題だと思います。そこは、うまくバランスをとって使っていただきたいです。

 キャスマーケットは、個人ユーザーにツイキャスの中での活動を活発化していただくためのツールとしての側面があります。そういった意味では、セミプロのアーティストやアイドルがライブのチケットを販売するといったイメージに近いのかもしれないです。プロとセミプロの垣根をなくして、みんなが楽しめるものになればと思います。

--最近では「ゲーム実況」に注力されていますね。

 ツイキャスはいま、映像を使ったライブ配信サービスという位置づけですが、より幅広いコミュニケーションをサポートできるようにしたいと思っています。その1つがゲーム配信です。

 さまざまなサービスのゲーム実況の文化をのぞいてみると、リスナーと配信者が積極的にコミュニケーションをとっていて、コミュニティが出来上がっているんですよね。それをツイキャスでも作れたらと思い、力を入れることにしました。コミュニティが多く出来上がるとインフラとして動いていけるので、もっとさまざまな種類のコミュニティを増やしていけたらと思っています。

モイ代表取締役の赤松洋介氏

--これまでの取材で「ツイキャスは場が荒れにくい」とよく聞きました。

 そうです。TwitterやFacebookなどのアカウントに紐づいているケースが多いことに加え、ユーザーの皆さんの「場を大切にしよう」という気持ちがあるのが大きいと思っています。今はユーザーの皆さんから報告をいただきながら、コミュニティを管理しています。そこがうまく回っているため、荒れることが少ないのだと感じます。

 また、ユーザーの多くは、サービスやコミュニティの“ルール”を理解していることが多い。「荒れている」と言われるサービスでも、実はそのルールに則って彼らはやっているんですよね。そのため、「荒れにくい」というのサービスやコミュニティの雰囲気の違いによるものだと思う部分もあります。

--ツイキャスの日本のユーザーは6割が女性で、女子中高生が多いそうですね。コミュニティを作り上げる上での理想的な男女比はあるのでしょうか。

 やはり半々くらいだとよいのかもしれませんが、あまり比率は気にしていません。ただ、女性の方が安心してコメントを書いたりできるサービスであろうとは意識しています。結果的に、現在は半数以上が女性でありがたいと感じます。ただ、女子中高生が多いのは予想外の展開です。

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