PR部門でグランプリを受賞したP&Gの「Like A Girl」は、「“女の子みたい”ってなに?」を世に問いかける、生理用品ブランドのAlwaysによる“女の子みたい”という言葉を再定義する作品だ。
小川氏は「この作品ができた背景を考えると、2014年カンヌライオンズの、P&Gのチーフ・ブランド・オフィサーであるマーク・プリチャード氏の講演を思い出す」として、その講演内容の要点を話し、さらに同社のヘアケアブランドのPANTENEによる2013年の作品「Labels Against Women」を紹介した。
同作は、経済成長が著しく、女性の社会進出が期待されているフィリピンで、「ビジネスは男性のもの、女性は出てくる必要がない」と考える人がいることに着目し、男女が同じ行動をしても他人への受け取られ方が異なることを伝えるもの。YouTubeで動画を公開したところ大きな話題となり、男女双方から賛否の声が寄せられたという。
“Success in the new Golden Age…" -Pritchard #CannesLions pic.twitter.com/DPVCz132Mc
— P&G (@ProcterGamble) 2014, 6月 20
「あなたがあなたについて話していないのに、みんながあなたについて話している。これこそ新しい黄金期における成功なのです」。小川氏は、2014年の講演でプリチャード氏が語ったこの言葉を体現しているものとして、2015年カンヌライオンズのデジタル部門のグランプリを受賞したアスリート向けブランド「UNDER ARMOUR」の作品「I WILL WHAT I WANT」を挙げた。
小川氏は、2015年カンヌライオンズから学ぶべきブランドコミュニケーションの新たなルールを図で示し、次のように説明した。
「『広告ではなく、コンテンツを作る』という意識を高めなければならない。最低でも、生活者がスマートフォンでそれを見て面白いと思えるエンターテインメントである必要があり、さらには、それを共感性を生む形のコミュニケーションに変えなければならない。生活者が人生という時間を一瞬でも投資して、その見返りがあるようなコンテンツでなければならない。ストーリーテリングという言葉がよく使われるが、1つの美しい物語にするだけでは限界が見えていると感じる。議論を巻き起こすようなアプローチが必要だ。短期的なキャンペーンではなくて、長期的に自走するムーブメントに変わっていく形を考えて、ブランドコミュニケーションに生かすべきだ」(小川氏)。
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