Siri Remoteは、クリックできるタッチセンサ部分と、4つのボタン、そしてボリューム調整の機能が備わっている。このボリューム調整はテレビの音量調節が可能だ。また、Apple TVをスリープから解除すると、対応しているテレビであれば、HDMIの信号を検知して、自動的にテレビの電源を入れ、Apple TVの入力を選択してくれる。
そのため、さあドラマを見始めようと思った際、テレビのリモコンに一切触れず、Siri Remoteだけを手に取るだけでよくなった。AVの世界ではさほど新しい話ではないが、リビングルームのシンプル化を考えた際、この連係機能は非常に大きく貢献していると感じた。
Siri Remoteにはモーションセンサも入っている。前述のタッチセンサやボタン、モーションセンサを利用すると、ゲームプレイを楽しむことも可能になった。実際、Apple TV向けのアプリで、最も盛り上がりが期待されるのはゲームだろう。
Crossy RoadやDoes Not CommuteといったiPhone/iPadでも人気のアプリが配信されており、例えばCrossy Roadの場合、手元のiPhone版を起動すれば、テレビの画面上で2人でプレイできる。iPhone版と連携して複数人でゲームが楽しめる仕組みは、iOSのゲーム市場で様々なアイデアをかきたててくれそうだ。
ただ、Siri Remoteでのゲーム体験はなかなか慣れず、難易度が高いように感じられる。その理由は、ゲームによってSiri Remoteの使い方が異なるからだ。Crossy Roadの場合、キャラクターをジャンプさせるには、タッチパッド部分をクリックする。しかし他のゲームでは、キャラクターのジャンプはクリックではなくタッチを採用している。
細かいようではあるが、アプリを切り替えてプレイする際、同じ動作が異なる操作に割り当てられていると混乱するのだ。シンプルなSiri Remoteならではの悩みかも知れないが、ゲームでSiri Remoteを使う際、何らかのガイドラインを設定した方が、ゲームプラットホームとしてのApple TVの価値を高めてくれるのではないかと感じた。
ちなみにiOSをサポートするBluetoothゲームパッドをペアリングすることも可能だ。本格的にゲームに取り組む場合は、1つないし2つ用意しておくとよいだろう。
筆者の生活において、特に米国では、Apple TVはなくてはならない存在となっている。ドラマや映画だけでなく、ニュースも含めて、Apple TVでの視聴にほぼ統一されてしまった。
米国の場合、地上波を持っているチャンネルも、24時間ニュースをApple TVアプリとして提供しているからだ。また、NHK Worldも、米国のApp Storeでアプリとして配信されており、日本発の英語ニュースを楽しめるようになった。
このように、放送局にとっては、もちろんビジネスモデルの検討はあるとしても、Apple TVにアプリの形でチャンネルを届けることで、世界中の視聴者を集める「可能性」が手に入る。
加えて、アプリ開発者にとっては、iOSアプリのノウハウでテレビ向けのアプリ開発に着手できるようになった。言ってみれば、これまで触れることができなかったテレビの画面を、自分のアイディアやビジネスの場に変えられるようになったということだ。
放送にとってもアプリ開発者にとっても、Apple TVとtvOS、そしてテレビ向けのApp Storeは、テレビの画面の解放と自由化を意味している。確かにこの点は、完全に「未来」だ。
その上で、より保守的で受動的になるテレビの前の視聴者に対して、いかに現実的に変化を求めるか。テレビ向けの映像コンテンツ以外の「キラーアプリ」は何か、見つけなければならない。視聴者も含めて、テレビの前での未来作りが始まる「きっかけ」として、Apple TVを評価すべきだと考えている。
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