--来店者に対してはどのように向き合っていますか。
林氏:ウェブサイトでは実現できなかったことをスマートフォンアプリで取り組むために、「POCKET PARCO」をリリースしました。その中で、“個客”マーケティングに取り組んでいます。
POCKET PARCOはハウスカード(クレジットカード)情報を登録できるアプリです。そこに登録したカードを使ってPARCOで買い物をすると、購入額に応じてコイン(ポイント)が貯まる仕組みになっています。また、買い物をする以外にも、来店前にショップブログの記事をクリップ(お気に入り登録)したり、来店時にチェックインしたりすることでもコインが付与されます。
最初の3カ月で、クリップの総件数は約45万件。クリップをした方の約半数がその後に来店していて、そのうちの76%が店頭で買い物をしてくれています。来店前の行動から見ると37%がコンバージョンに至っている、ということです。
逆のパターンである「クリップをしたけれど来店していない」「来店したけれど買い物をしていない」という履歴も取れており、データは日々貯まっています。個別のお客さま(個人は特定できないが、年齢や性別、よく訪れる店舗などはわかる)をベースとした分析も可能です。
POCKET PARCOの全国展開を本格的に始めたのは、2015年3月。そこから半年が経って、上期(3~8月期)で見た時に、アプリに登録しているハウスカード会員と、アプリを使っていないハウスカード会員の平均の客単価を比べると、アプリを利用している会員が2倍になっていました。
--その効果をどのように高めていこうと考えていますか。
林氏:より個人に向けたものとして、レコメンド機能の開発を進めています。また、プッシュ通知をする内容の精度を高めるための施策を決定し、今まさに取り組んでいます。
直近の機能の改修で最も成果が出たのは、プッシュ通知による、接客評価のアンケート機能です。それまで、お客さまが店舗で商品を買った翌日に付与されたコイン数をプッシュ通知していたのですが、その時にアンケートへの回答を促すようにしました。5段階の評価と任意で自由にコメントしていただける仕組みで、回答者には100コイン(=1円相当)を付与しています。
このアンケートにより、接客の客観的な評価が数値化され、ショップの評価が客観的にわかるようになりました。それがデータ化されるようになって、テナントにそのままフィードバックできるようになったのも大きな成果です。
ちなみに、全体の評価の平均は約4.2点。評価軸が少し上にずれている気はしますが、少なくとも満足はしてくれていると捉えています。
評価は数字以上の効果があります。今まで、我々がテナントにフィードバックできていたのは、主に「クレーム」です。そのようなマイナスから始まる評価は体系化できていましたが、プラスの評価を体系的にフィードバックする仕組みは1つもありませんでした。
誰だって、よい評価がもらえたらうれしいわけです。次もさらによい評価をもらえるように接客をしようと、モチベーションが高まります。そういった施策も含め、やれることはまだまだ多くあると思っています。
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