サイバーエージェントによる動画広告に関する調査をする専門組織「オンラインビデオ総研」は10月27日、シード・プランニングデジタルインファクトと共同で実施した、国内動画広告の市場動向調査の結果を発表した。同調査では、インターネットを通して配信される動画広告の年間広告出稿額を推計し、市場規模予測を算出している。
スマートフォンの急速な普及や通信環境の高速化とともに、スマートフォンによる動画視聴時間は増加している。ソーシャルメディアを通じて、ユーザー、企業、メディアによる動画コンテンツを活用した情報発信や視聴が日常化しており、マーケティング活動においても、動画活用によるユーザーとのコミュニケーションの重要性が増している。
また近年、若年層のテレビ離れを背景に、テレビCMを補完する役割としての動画広告への関心が高まりつつあり、特に、若年層をターゲットとするマーケティングプロモーション活動において、テレビCMとの併用およびスマートフォンで視聴可能なソーシャルメディア上のオンライン動画プロモーションが注目されている。
先進的に動画広告に取り組んできた大手広告主企業では、トライアル出稿の段階を脱し、現在は広告予算のメディアポートフォリオの一部に組み込まれるようになっている。これらを背景に、動画広告市場は2014年以降、急成長を遂げており、2015年も引き続きスマートフォンを中心に成長を続けると予想されるという。
2015年の動画広告市場は、スマートフォン向け動画広告需要の大幅な増加により、昨年対比約162%の506億円に達し、スマートフォン向けが動画広告全体の46%に達すると見込まれている。翌年の2016年には、スマートフォン向け動画広告は過半数を占める見込みだ。
今後、中長期的にスマートフォン向け動画広告需要の拡大が市場成長をけん引し、2017年には、1093億円に達すると予想。また、2020年には2009億円に達し、スマートフォン向けの需要はその57%を占めると予想されている。
スマートフォンによるユーザーの動画視聴時間は引き続き増加傾向にあり、若年層を中心に、さらに高まる傾向がみられる。特に、10代のスマートフォンによる動画接触率はPCを上回り、テレビと同水準に近づきつつある。テレビCMを出稿する企業では、若年層とのコミュニケーション手段として、スマートフォン向け動画広告の活用が進むなど、テレビCMとの併用ニーズが高まっている。
2015年のYouTubeなどのインストリーム広告は、全体の約7割を占め、2020年までその比率は同等に推移する見込みだ。一方で、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアにおけるインフィード広告の成長が著しく、2015年は昨年対比331%の53億円に到達すると見込まれ、翌年の2016年には、188%成長の100億円規模に達すると予測される。
スマートフォンやソーシャルメディアの普及とともに、ユーザーの動画コンテンツの視聴対象は、動画配信サイトだけでなく、ソーシャルメディアやニュースアプリなどへと広がりをみせている。また、動画広告商品の需要は、インストリーム広告が主流となる一方で、インフィード広告の比率も拡大する見込みだという。
オンラインビデオ総研によると、スマートフォンでの視聴が多いソーシャルメディア上でのインフィード広告においては、2014年から2016年にかけて市場規模が大きく伸長すると見込まれている。ユーザーのスマートフォン利用態度を調査、分類し、その行動に合わせた動画広告の配信設計とクリエイティブの開発、細かい広告運用の最適化が必要とされているという。
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