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SNSでのシェア、模倣はOK?--ゲッティに聞くネット時代の著作権“基礎の基礎” - (page 2)

加納恵 (編集部)2015年10月05日 12時42分
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SNSのシェア機能がもたらした「引用」の危険性

 一方で、文章の一部抜粋などは適法な「引用」となっていれば、著作権侵害にはあたらない場合もある。

 「出典先を明記し、正当な範囲で引用するのであれば問題ないが、最近は引用の範囲を超えているものが目立つ」と持家氏は指摘する。その原因はキュレーションメディアの登場だ。「キュレーションメディアはまだ成熟していないサービスのためか、本来、厳密な要件を満たさなければ適法な「引用」と認められないが、出所さえ明示すれば、引用であると誤解している場合が多いようだ」(持家氏)。

 大串氏も「ほんの数年前は、インターネットに掲載すること自体が大丈夫なのか、という議論もあったほどだが、“シェア機能”の登場により、ユーザーの意識は一変した。TwitterやInstagramに掲載されているものはシェアしてもいいという認識に変わりつつある」と続ける。

 「提供した側が予めシェアを容認している場合ももちろんあるが、シェアを認めていないところからも同じ感覚で勝手に流用するような風潮がすごく強いと感じる」(大串氏)と話す。そうしたシェアの延長線上には、他人の写真を断りもなく、自分のInstagramに掲載してしまったり、自分が撮影したもののようにブログに掲載してしまったりといったトラブルがある。

 「私的使用であればOKという認識もあるが、実は著作権法における私的使用の範囲は本人とその家族程度。友人であってもNGになる。そのため『個人ブログなので大丈夫』と考えている人も多いかもしれないが、私的使用目的で許されるのは「複製」(コピー)までで、ウェブサイトに公開する行為は、「公衆送信」という著作権法上別の行為になり、私的使用目的による複製の例外は、該当しない。したがって、個人ブログだから OKというのは誤った認識」と指摘する。

 ブログやSNSによく画像としてアップされることが多い、料理や風景にも著作権の面から見れば厳密なルールがある。


ゲッティ イメージズ ジャパン 弁理士/知的財産アナリストの永沼よう子氏

 「料理そのものには基本的に著作権はないと言われている。しかし、店内での撮影行為は、NGな場合がある。私有地内での撮影は施設所有者の許可が基本的には必要と考えた方がいい」(永沼氏)とのこと。「これは庭やガレージ内などでも同じで、私人の有する敷地に入った時点で許可なく撮影することはNG。しかし、公道からの見えるものを撮影する場合、撮影行為は公道上で行われているから、これをNGという権利は被写体の所有者にはない」(大串氏)とのことだ。

 ただし、一部注意が必要な場合も存在する。「一部の神社や仏閣、著名な建築物などの写真が商用利用された場合、その建物等の所有者からクレームがくる場合がある。そのクレームの法的な根拠は不明だが、どうも、慣例として許諾を必要とするという扱いをしているようだ。クライアントからこれらの撮影に関してアドバイスが求められることも多いが、その際はクレームが来る可能性があることを伝えている」(持家氏)とのこと。ある意味日本らしい現象と言える。

ゼロから生み出すものだけがオリジナルではない

 では、画像や映像コンテンツなど、すべてのものをゼロから作り出さないとオリジナルとは言えないのだろうか。

 「オリジナルでなければクリエイティブでないと感じる傾向が日本は特に強い。しかし、決してそんなことはなく、著作権や肖像権をクリアした素材を使用し、作られているCMやドラマのオープニング映像などは多数存在する」と持家氏は強調する。

 大串氏も「創作物はゼロから作らなければならないという傾向が日本では強いが、先人が残した遺産があって、それを我々が継承し、リスペクトした上でそれをオマージュ的に創造のヒントにして、新しいものを作っていくことが自然」と続ける。

 ただし、著作権侵害罪の罰則は、個人では10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、法人では3億円以下の罰金が定められており、その罪は重い。ゲッティイメージズでも、関連会社の「ピックスカウト」で、不正使用されているコンテンツを常に監視しており、見つけた際は損害賠償を請求する。

 持家氏は「以前インターネット上で『写真に著作権はない』という根も葉もない噂がTwitterを介して出回ったことがあるが、それはとんでもないデマ。著作権法にも、「写真の著作物」として例示されている。かといって、すべてをオリジナルで作るのには、時間と手間がかなりかかってしまうことは事実。きちんと著作権をクリアした素材をうまく使いながら、クリエイティブをしていってほしい」とした。


日本では「ゼロから作り出さないとクリエイティブではない」という風潮が海外に比べ強いという

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