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「SNSウケ」の狙い方--“経年変化”に着目したレザーブランド「Tanner Goods」

尼口友厚(ネットコンシェルジェ CEO)2015年09月15日 08時00分
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 「Tanner Goods」は2006年、オレゴン州ポートランドで設立されたレザーブランドだ。伝統的な技術と職人芸、質の高い素材を用いてベルトやバッグ、財布、ストラップなどのレザーグッズを自分たちで製造、販売している。


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 創業以来、9年間で、150平方フィート(約14平方メートル)だった作業場を計1万平方フィート(約930平方メートル)のワークショップオフィスに拡大。またポートランドとロサンゼルスに実店舗を持ち、欧州やオーストラリア、日本、韓国にも販路を広げている。

 質の高い素材や技術、伝統的なデザイン。これらはレザーブランドの特徴としてはありふれたものだ。そのようなブランドが、なぜここまでの成長を遂げたのだろうか。そのきっかけは、同社のソーシャルメディアマーケティングにあった。

失業危機から自分のルーツを見つめ直した

 Tanner Goodsの創業者はオレゴン州シスターズ出身のサム・ハフ氏。同氏は子供の頃、数学や科学に夢中な少年だったが、やがてものづくりにも強い興味を示すようになり、高校生のときには陶芸家のもとでアシスタントもしていたという。

 大学卒業後にはものづくりのスキルを生かし、同州ポートランドの会社に工業デザイナーとして就職。しかし、その頃経済が悪化していたことが原因で仕事が減りはじめ、人々が次々に解雇されていった。ハフ氏はこの現状に「もうどうにでもなれ」という諦念を感じていたが、やがて「これは新しいことを始めるチャンスではないか」と、自分が本当にしたいことは何なのか考えるようになった。

 ハフ氏の「やりたいこと」とは、ゼロから何かものづくりをすること、実用的で品質が高く、しかも長持ちする製品をつくることだった。同氏がこう考えたのは、自身が生まれ育った環境強く影響していたという。

 ハフ氏が生まれ育ったシスターズは、品質の高いアイテムをつくることに誇りを持つ職人が多くいる街だ。ハフ氏も義理の父からもらった1980年代の手作りの自転車に乗って通勤していた。また彼自身、高校の頃からこの街に感化されて、陶器やセラミックスをつくるなど、ものづくりに対する情熱を抱くようになったのだ。

 そこでまずは人にプレゼントするためのバッグを製作するようになった。昔から耐久性が高く機能的な製品に興味があったハフ氏は、素材にレザーを選択したという。

 当初あくまでも趣味のつもりだったバッグづくりだが、ちょうどこの頃伝統的なレザー製グッズがトレンドになりつつあったことを知ったハフ氏は、自分たちのつくった品物を販売することを決意。2006年にTanner Goodsを創業すると、オレゴン州ポートランドのデザイナーや職人からなる小規模のチームで高品質の皮革製品やアクセサリの生産を始めた。

 素材は米国内から厳選したものを用い、製造もハンドメイドにこだわった。多くの工場に置いてある機械であればすべての作業が自動化できるが、あえて1900年代初頭からあるマシンを使い、伝統的な作り方を踏襲した。

 やがてTanner Goodsの伝統的なデザイン、素材の確かさ、卓越した技術などが評価された。創業以来の9年間で、150平方フィート(約14平方メートル)だった作業場は計1万平方フィート(約930平方メートル)のワークショップオフィスに拡大し、35人のスタッフを抱えるまでになった。

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