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「SNSウケ」の狙い方--“経年変化”に着目したレザーブランド「Tanner Goods」 - (page 2)

尼口友厚(ネットコンシェルジェ CEO)2015年09月15日 08時00分
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使用前後でまったく別物になると評判に

 Tanner Goodsの主力製品はバッグ、ベルト、財布、革製の犬の首輪や手袋といった、ハンドメイドの味わいのあるレザー製品だ。価格はリュックサックであれば400~500ドル(約4万8000円~6万円)程度、ベルトが80~120ドル(約9700円~1万4000円)、財布は50~200ドル(約6000円~2万4000円)ほど。

 ハンドメイドである点や、デザインのこだわりも多くあるだろうが、ここではレザーの特徴である「経年変化」をマーケティングに活用した点に着目したい。同サイトの主力商品に使われている生レザーは、使い込むほどに味が出る。Tanner Goodsはこの経年変化をInstagramなどで情報発信し、消費者の認知を獲得をしている。


Tanner Goods自身による同じ財布の使用前と8カ月使用したものを並べた写真

 Tanner Goodsの情報発信に触発され、自分のアイテムが変わっていく驚きをほかの人たちとも共有したいと考えた利用者たちが、InstagramやFacebookで「使用前」「使用後」といった写真を撮影して、シェアするようになった。

 あるユーザーは同サイトのベルトを買って愛用していたが、使ううちに非常に柔らかくしなやかな肌触りになるととともに、肌色に近い淡い色合いだったのが、こなれた茶色に変化したことに驚いたそうだ。

 Tanner Goodsでは当初、染め加工のされていない生レザーのみを生産していたが、現在は染めたもの、エンボス加工した製品も生産している。なお染色液はインディゴ藍などの自然なものを使用しているという。

 この経年変化という特徴が、これまでファストファッションに親しんでいた消費者に斬新に映り、大きな反響につながっていったのだろう。

「SNSウケ」する側面を探す

 ハフ氏によると、Tanner Goodsではただ10、20年持つだけでなく、時代を超えて愛されるようなデザインと、長い生活の中でも色あせない高品質なアイテムをつくるよう心掛けているという。

 しかし、モノも情報もあふれている時代において「よいモノ」であるだけでは売り上げは立たない。「よいモノがそこにある」と消費者に伝わらなければ、手にすらとってもらえない。あなたのよいモノをどのように消費者に伝えるか。Tanner Goodsの取り組みは、その大きなヒントになる。

 考えてみれば、経年変化は革製品全般に言えることで、他レザーブランドにも当てはまる話だ。Tanner Goodsが他ブランドと違ったのは、その点にきちんとピントを合わせ、情報として発信したというところだけだ。

 当たり前だと思っているような側面にももう一度ピントを合わせてみれば、革製品における経年変化のように「SNSウケ」するポイントが見えてくるはずだ。

尼口 友厚

ネットコンシェルジェ

CEO

明治大学経営学部卒。米国留学からの帰国後、デザイナー/エンジニアとしての活動を経て、2002年に国内有数のウェブコンサ ルティング会社「キノトロープ」に入社。 2003年、同社関連会社としてネットコンシェルジェを設立。eコマースとブランディングを専門領域とし、100億規模の巨大ECサイトからスタートアッ プまで150を超えるクライアントを抱える。

2015年にベンチャーキャピタル2社より資金を調達し、キュレーションコマースプラットフォーム「#Cart」を開始。趣味はブラックミュージック鑑賞。著書に「なぜあなたのECサイトは価格で勝負するのか?」(日経BP)。

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