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「偽物の作り方」をあえて紹介--レザーブランド「Saddleback Leather」のEC戦略

尼口友厚(ネットコンシェルジェ CEO)2015年08月25日 08時00分
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 当連載では、しつこいくらいにECサイトのブランド、商品のストーリーを語ることの重要性を語ってきた。その理由は、消費者がそのブランドや商品が持つ機能面のみならず、背景や価値観に共感し、商品を購入する傾向があるからである。


「Saddleback Leather」トップページ

 今回は、そうしたブランディングに成功しているサイトを新たに1つ紹介したい。販売している商品に100年の保証をつけ、その品質に絶対の自信を持っているレザー製品のECサイト「Saddleback Leather」だ。

 同サイトは2003年、米国サンアントニオで設立。伝統的なデザインと、極厚のレザーを使った頑丈なカバンを製造して販売し、人気を博している。また、これまでに100本以上の動画を投稿しており、10万回以上再生されているものが多いのも特徴だ。

きっかけは「自分がほしいバッグ」を作ったこと

 Saddleback Leatherの創業者であるデーブ・マンソン氏は、オレゴン州のマルトノマ大学出身。1999年よりメキシコシティ近郊の街で地元の子どもたちにボランティアで英語を教えていた人物だ。


Saddleback Leatherの創業者であるデーブ・マンソン氏[出典:Saddleback Leather]

 マンソン氏はそのころ、通勤に使うバッグとして、インディ・ジョーンズで使われていたような頑丈なカバンがほしいと思っていた。ところが、デパートや売り場のどこにもそのようなカバンは見当たらない。そこでバッグを作るメーカーを直接訪問し、自分用のカバンを作ってもらうことにした。

 するとメキシコの職人が現れて「どんなカバンがほしいのか」と聞いてきた。マンソン氏が「死ぬ時にもまだ使っているような、一生もののタフなカバンが欲しい」と答えたところ、その職人は希望通りのカバンを作ってくれた。

 この自分専用のカバンを作ったことが、その後のマンソン氏の運命を大きく変えることになる。あるとき、用事ができて米国に帰国した同氏は、周りの人たちからひんぱんに「そのカバンをどこで手に入れたのか」と聞かれた。多いときには1日に4~5回聞かれることもあったという。

 この経験から、「このカバンはかなり売れるポテンシャルを持っている」と考えたマンソン氏。生活費の節約を兼ねてメキシコと米国の国境付近の町フアレスでお湯も出ないような月100ドルの安アパートを借り、自身の手で製造を開始した。

 そして完成したバッグをランドクルーザーに積んで米国の路上で販売したところ、これが大いに売れた。もっと多くの顧客にリーチすることを考えたマンソン氏は、やがてオンラインでの販売も検討するようになり、2003年には米国で流行していた「Ebay」で販売をはじめ、ビジネスとして正式にスタートさせた。

 結婚後には、メキシコの隣に位置する米国テキサス州サンアントニオに移り、メキシコの工場に製造してもらったカバンをSaddleback Leatherで売りはじめた。

 当初、このサイトは簡易的なもので、1000ほどのアクセスにしか対応できないものだった。そのため、メディアに取り上げられて2万以上のアクセスが集中するようになるとダウンしてしまっていたという。よりしっかりしたECサイトをつくる必要に迫られたマンソン氏は、これを機にさまざまなマーケティングへの取り組みも開始した。

 たとえばフォトコンテストを開いて、Saddleback Leatherのカバンをテーマにした面白い写真を顧客に撮ってもらい、選ばれた写真の撮影者にカバンをプレゼントしたほか、YouTubeを使った動画によるマーケティングに力を入れたという。

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