筆者はApple Musicを利用し始めて、個人的に「停滞」を感じていた音楽ライフが再起動し、既存のiTunesライブラリを生かしながらの新しい音楽との出会いを楽しめるようになった。
そうした既存のiTunesユーザーという視点から、Apple Musicのレビューを4回に分けてお届けしていきたい。夏休みに音楽ライフを刷新する助けとなればと考えている。
Appleは米国西海岸時間6月8日に開催されたWWDC 2015の基調講演において、噂されてきた定額音楽サービスApple Musicを発表し、6月30日から日本を含む世界各国で一斉にスタートした。
Appleは今もなお、音楽市場の流通をCDからデジタルに置き換え、中心的な存在として君臨している。しかしながらデジタルダウンロード販売市場の縮小が続いており、最も大きな減少を受けているのもAppleだ。
YouTubeやSpotifyなどの無料が中心となるストリーミング型の音楽聴取・視聴が普及する中で、AppleはストリーミングラジオサービスiTunes Radioを開始するが、決定打にはなっていなかった。
そこで2014年夏にBeats Musicを提供していた新興オーディオ機器メーカーBeats Electronicsを買収し、1年のリメイクを経て「Apple Music」のリリースにこぎ着けた。
数回に分けて、Apple Musicを1カ月利用しながら気づいたことを含め、レビューをお届けしたい。
ちなみに、筆者の個人的な感想をはじめに述べておくと、音楽を聴く時間は倍以上に増えている。特に、仕事中以外の視聴が格段に増えた。作業前のようにじっくり音楽が選べなくても、気軽に新しい音楽との出会いを演出してくれるプレイリストやラジオによって、「新たに音楽を聴く時間が創出された」という印象だ。
Apple Musicの最大の強みは、iPhoneを最新のOSにアップデートするだけで利用できるという「手軽さ」だ。
他のアプリの場合、そのアプリをApp Storeで見つけてダウンロードし、アカウントを作り、有料プランであればカード情報を入力しなければならない。Apple Musicの場合、アプリは標準の「ミュージック」アプリを開くだけで良く、アカウントはApple ID/iCloudアカウントをそのまま利用できるため、決済情報の入力もいらない。
ストリーミング型の音楽サービスへのハードルを一気に引き下げており、それだけでもユーザー獲得にはアドバンテージとなりうる。
この新しい「ミュージック」アプリに対しては、非常に好感が持てる。その理由は、これまで音楽を聴くアプリは「ミュージック」アプリ、音楽を探すアプリは「iTunes Store」とアプリが分断されてきたからだ。
もちろんiTunesでのダウンロード購入も行うことができるため、iTunes Storeアプリは残るが、新しいミュージックアプリはApple Musicと統合されており、音楽を「見つけて」「聴く」という体験が1つのアプリにまとめられた。
その点で、特にiPhone上でAppleが提供する音楽体験が、より分かりやすくなったのではないだろうか。
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