「マーケティング革新~BtoB企業のマーケティング戦略を変えるMAの真実」と題し、マーケティングオートメーションの最新動向についてのCNET Japanセミナーが6月29日に開催された。
基調講演「B2B企業に求められるこれからのデジタルマーケティング」に登壇したのは、ネットイヤーグループの代表取締役社長兼CEOの石黒不二代氏。同氏は、B2B企業の成長に貢献する「デジタルマーケティング」のありかたを提示しつつ、これから求められる日本企業ならではのB2Bマーケティングについて言及した。
石黒氏のもとには、最近B2Bのマーケティングに関する問い合わせが急増しているという。そうした状況も踏まえて同氏は、「B2Bはデジタルマーケティングにとても合っている」と言い切った。
「海外で確立しているマーケティングというのは、組織に“営業”がなくても売れる仕組みをつくること。つまりマーケティングとは、ユーザーの声を聴き、ユーザーニーズに合った商品を企画し、他部署と連携して、商品開発し、宣伝、販売支援から、購入後のユーザーの声を聴いて商品を改善するなど、企業活動の一連の流れを担うことだ。もちろん、営業を否定するわけではない。顧客と直接コミュニケーションをする営業も含めてすべてがマーケティングなのだ。日本のB2B企業にはこうした視点が足りないが、それは裏を返せば、ここに注力すれば非常に強い企業がつくれるということでもある」(石黒氏)
マーケティングには、大きく2つの種類がある。1つはマスマーケティングであり、もう1つがデジタルマーケティングだ。石黒氏はこのデジタルマーケティングを、マスマーケティングの対極として位置づける。なぜならば、将来すべての人やデバイスに特有のIDが割り振られるようになれば、その人の興味や関心がリアルタイムに把握できるようになり、そこで企業は特定の人に特定のメッセージを送ることが可能となるからである。
「デジタルマーケティングで非常に大切なのは、一人一人の顧客についてよく知ることであり、一人一人の顧客とのシナリオを描くことだ」と石黒氏は言う。
つまり、顧客が100人いれば100通りのシナリオが必要になるということだが、これを人の手で行うというのはとてもではないが難しいだろう。だからこそ、マーケティングオートメーション(以下、MA)がデジタルマーケティングでは必須となるのである。
ここで石黒氏は、アマゾンの事例を示した。今や同社は既存のECビジネスだけの企業ではない。例えばドローンを飛ばして自動的に顧客宅の戸口まで商品を届けようとしているなど、新しい顧客接点を創出する企業となっているのである。
「アマゾンがB2Cの世界で実現しているOne to Oneマーケティングは、B2Bにも通じるものだ」(石黒氏)
現在、世界のB2B企業の経営者のうち3分の2は、マーケティング投資に対してきちんとリターンが得られているのかを最重要視するようになっているという。そうした企業では、より本質的かつ全社的なマーケティング戦略が求められているのである。そしてその戦略のもとで繰り広げられるデジタルマーケティングは、全社で1人の顧客に向き合わねばならない。だからこそ、横断的な組織・チームづくりが不可避となっている。その上でデータを収集し、顧客分析を行っていくというプロセスを進めていくのである。
「デジタルマーケティングは、マーケティング部門単独で進めても決してうまくいかない。特に営業部門をはじめ、他部署との連携が大切になる。必要な情報を共有し、活溌なコミュニケーションを心がけて欲しい」──石黒氏はこう会場に訴えかけ、壇を後にした。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手