どれも便利な追加機能ではあるが、筆者に言わせれば、画期的なものは1つもない。既にある機能が改良されるだけだ。他にも追加される機能があると思われるが、それらも「既存機能の改善」の域を出ないと筆者は予想している。言い換えれば、ポケットやバッグに入れて持ち歩くこれらのミニコンピュータに追加できる機能が、もはやそれほど残されていないという段階に達してしまったようだ。
この問題の一因は、AndroidにもiOSにも、ほぼすべてのものに関連するアプリを揃えた巨大なアプリストアが用意されていることだ。文字どおり百万単位のアプリがあるので、Android M担当チームやAppleのiOS 9担当チームが刺激的なアイデアを思いついても、おそらく、「それを実現するアプリ」が既に存在することに気づかされるのだろう。GoogleもAppleもアプリのコンポーネントをAndroidやiOSの次期バージョンに組み込むことは可能だが、事実上その機能をスマートフォンで既に利用できることを考えると、GoogleやAppleがそれを「新しい」何かとして発表すれば、筆者は失望するだろう。
筆者は3Dホログラフィックコミュニケーションのような機能(映画「スター・ウォーズ」を想像してほしい)や、写真、動画、ゲームをスマートフォンから壁に投影する機能を思い描くのが好きだが、どちらも必要性が(それを言うなら実用性も)ないことは認める。AppleやGoogle、そして読者の皆さんでさえも、おそらく同じように感じているはずだ。
もちろん、AppleやGoogleなどの企業は、筆者が興奮を覚える、まさにそうした革新的で型破りなことに取り組んでいる。それが必ずしもスマートフォンというわけではない。Google I/Oで本当にクールだったのは、「Project Jacquard」(スマート衣服)や「Jump」(16台のGoProカメラで仮想現実体験を創造)などだ。実際のところ、I/Oで最も刺激的だったスマートフォン関連の「イノベーション」は、Googleの極めて安価な「Cardboard」アクセサリによって、あらゆるスマートフォンをVRヘッドセットに変えられるようになったことだ。しかし、それさえも、実際にはDIY「ケース」と無料アプリを組み合わせたものでしかなく、スマートフォンのDNAにおけるOSレベルの変更というわけではなかった。
公平を期すために言えば、将来の基調講演でこれまでの枠にまったく収まりきらないようなものが発表されて、皆が驚かされる可能性は常にある。だが、筆者は疑問に思うようになった。スマートフォンは、到達し得るピークに達してしまったのだろうか。既に主要な機能はすべて搭載されてしまったのだろうか。いずれかのスマートフォン企業が、ユーザーが求めていたことさえ認識していなかった何かを考え出して、状況を一変させるようなことがない限り、先ほどの疑問に対する答えはいずれも「イエス」になるのではないだろうか。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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