GoogleはGoogle I/O 2015の基調講演の大部分を同社の次世代モバイルOS「Android M」の発表に費やした。その主な内容は、新しい「USB Type-C」による充電、アプリの権限の改善、新しい「Doze」モードによる電源管理の向上、「Android Pay」の搭載などだ。
あくびが出そうになる。それらのAndroid関連の発表に、筆者を驚愕させるものは何一つとしてなかった。再設計された写真アプリや「Google Now」の新たな変更点は評価できるが、大きな驚きや興奮を感じるものは皆無だった。
筆者はGoogleを責めているわけではないし、完璧を目指して少しずつ前進するすべてのOSメーカーはもっと努力すべきだと言っているわけでもない。そのことは理解してほしい。問題なのは(これを問題と呼ぶべきかどうかは分からないが)、GoogleとAppleのモバイルOSはいずれも既に成熟しきっており、明らかに欠けているという機能がもはや1つもないことだ。もしかすると、現在の標準的なスマートフォンのフォームファクタ(約5.5インチ×2.7インチ、つまり約13.9cm×6.8cmの長方形)も技術革新を制限しているのかもしれない。理由が何であれ、OSアップデートの発表が大きな熱狂を呼ぶことはしばらくないだろう。
基調講演ですぐに明らかになったのは、Googleはとてつもない新機能で人々を驚かせるつもりはなく、Androidの既存機能を強化しただけだということだ。
「Google Now」を例に考えてみよう。これは、ユーザーの電子メール、連絡先、メッセージ、GPS位置情報などを調べて、その時々の状況に応じた通知を送信するシステムだ。今でも便利な機能だが、「Now on Tap」が追加されることで前面に現れ、ホームボタンをタッチすると、今見ているものに関して、利用可能な情報が表示される。確かに、機能向上には違いないだろうが、実際のところは全く新しい機能というより既存機能の改善である。
もう1つの例が新しい「Google Photos」だ。筆者は新しいレイアウトを気に入っているし、容量無制限の無料ストレージスペースに不満な点はあまり見当たらない。だが、写真を管理する機能は以前から提供されていることも事実だ。したがって、これもNow on Tapと同様、スマートフォンの飛躍的な発展というより、一段階の進歩にすぎない。
とはいえ、これはGoogleに限った話ではない。「iPhone」の次期OS(Appleの開発者会議で米国時間6月8日に発表される可能性が高い)について流れているうわさも、似たり寄ったりだ。「iOS 9」では、キーボードが改良され、ランドスケープモードに機能が追加されるほか、シフトキーがもっと目立つデザインに変更されると言われている。また、「Maps」アプリに(ようやく)乗換案内機能が追加されるという。それに、多数のバグフィックスや古いデバイスとの互換性の改善もあるだろう。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」