YouTubeなどの動画共有サイトで人気動画を公開しているいわゆる「YouTuber」のマネジメントや、動画制作などを行う3ミニッツは6月1日、ファッション、ビューティー、クッキング、DIY、インテリア、海外のトレンド情報など、女性のライフスタイルに特化した動画メディア「MINE(マイン)」を公開した。
2014年11月に創業した3ミニッツは、女性のYouTuberを中心にしたインフルエンサーのマネジメントを強みとしており、今年2月には既存株主のB Dash VenturesとLINE Venturesが運用するファンド「LINE Life Global Gateway」を引受先とする約1億円の資金調達を実施。インフルンサーには、SNSで270万人以上にフォローされているizu(出岡美咲)、香港や台湾で人気のHana Tamといった人気のYouTuberのほか、タレント・モデルとして活躍する道端アンジェリカ、アジアで人気が拡大している藤井リナなどが参画し、今後は同社でマネジメントしているインフルエンサーとコンテン制作ツノウハウを活かしたメディアを運営していく予定だという。
代表取締役社長の宮地洋州氏に、これまでの創業の経緯や新メディア立ち上げの狙い、今後の戦略などについて聞いた。
――まずは、3ミニッツを創業されるまでの経緯について教えてください。
宮地氏:起業に強い興味を持ったのは、語学留学した米国での経験がきっかけです。米国では動画メディア、バイラルメディア、プロモーションといった領域で先進的な事例が溢れていて、それが日本における現在のバイラルメディアやデジタルを活用したプロモーションといった領域でのエコシステムの先駆けになっています。こういった状況に強いインスピレーションを受けて、米国のトレンドを日本に導入したらどのように発展するか、とても興味がありました。“自分の力で時代を作りたい”と強く思ったのはこの頃です。
留学を終えて日本で広告代理店に勤務した際には、ファッション業界や音楽業界のクライアントのプロモーション立案などに関わっており、その時の経験を活かして2011年に27歳でデジタルコンテンツのプロデュース、プロモーション、イベント、コンテンツ制作などを手掛ける「G STYLE ENTERTAINMENT」という会社を起業しました。3ミニッツは2社目の起業になります。
――YouTuberに着目した点や女性に特化した点については、どのような背景や狙いがあるのでしょうか。
宮地氏:世界的にみても、SNSのトレンドは疑いの余地がなく、それによって個人がSNSの発信力や拡散力を活用して自分で人気を獲得できる時代になりました。例えば、ファッションモデルであればかつては雑誌などに掲載されないと人気を獲得することは不可能でしたが、それがTwitterやFacebook、YouTubeやInstagramを活用して人気を獲得できるようになって、それぞれのSNSで「YouTuber」や「Instagramer」と呼ばれるような人気ユーザーが登場してきています。
2、3年前から生まれているこうした時代の変化は、私自身マーケティングリサーチなどを通じて感じていて、米国ではまだこうした人気ユーザーの発信力に着目したメディアが誕生していなかったり、一方でトータル数千万回の再生回数を誇る「YouTuberアイドル」が米国で出現したり、ウォルト・ディズニーが数万人のYouTuberを支援している「MCN」と呼ばれるサービスを提供するMaker Studiosを買収たり、いろいろなおもしろい動きがあったのです。
こうした動きは日本でも盛り上がるだろうと考え、私が起業した昨年の段階では人気YouTuberのHIKAKINさんがファウンダーを務めるUUUMしかそうした事業を展開する企業はなかったということもあり、私はファッションなど女性をターゲットにしたマーケットのビジネスに携わってきた経験や、私の周囲に女性インルエンサーのネットワークがあったという背景を活かして、女性YouTuberに特化したビジネスを展開しようと考えたのです。
プロダクションだけでなく、メディア展開は創業当時から構想しており、コンテンツはすべて自社で制作していく予定で、YouTuberのマネジメントと企業タイアップ、メディアのマネタイズを主なビジネスモデルにしています。「3分で世界にインパクトを」とスローガンに掲げている通り、世の中にインパクトを与えるような動画を発信していきながら、これから生まれてくる新しいYouTuberの活躍を支援できるようなプラットフォームを生み出したいと考えています。YouTubeをはじめ、SNSを活用すれば世界で活躍できるチャンスはたくさん広がっていると思うのです。そうしたチャンスを活かしたい人たちを支援することで、一緒に時代を作っていければ嬉しいですね。
――6月1日にオープンした「MINE」ではどのようなコンテンツを発信していくのでしょうか。
宮地氏:20代、30代の女性をコアターゲットにし、ライフスタイルのテーマ全般と国内外の文化やファッションなどの話題を約3分の動画コンテンツにして発信していきます。6月中は50~60本程度でさまざまに検証していき、7月以降は月1000本ペースで動画を制作、公開していきたいと考えています。既に撮り終えた動画素材は300本程度用意しており、今後本格的にコンテンツ制作を進めていきたいですね。
視聴者のターゲットとしては海外も意識しており、例えば「花魁」をテーマにした12秒のティザー動画はサイト公開前に公式Facebookで8万回以上の再生回数を記録して、とても手ごたえを感じています。こういった日本文化を発信することで世界の人たちに興味を持ってもらったり、あるいは日本人が知らなかった日本の文化や伝統を再発見したり、一方で海外にも撮影に行き海外のクールな文化を日本向けに紹介したり、動画でしかできない表現を自社で全て制作しながら、「3分で世界を繋げる」メディアにしていきたいと考えています。
参加するYouTuberとしては、道端アンジェリカさん、藤井リナさんをはじめ、ファッションモデルの松本恵奈さんやLoveli(ラブリ)さん、2015ミス・ユニバース世界大会の日本代表に選出された宮本エリアナさんなどが登場する予定です。動画は自社ですべて制作し、自社のプラットフォームに加えてYouTubeやFacebookを活用したバイラルを興していきたいと考えています。
――ビジネスモデルはどのように考えていますか。
宮地氏:広告収益やタイアップなどを想定しています。また、MINEに公開された動画にインスピレーションを受けて「こういう動画を作りたい」という相談も生まれるのではないかと期待しています。ただ、マネタイズよりもまずはコンテンツのクオリティを担保してメディアの価値を高めることを目指して、マネタイズは積極的に考えずコンテンツ制作を進めていきたいと考えています。この夏にはアプリでの展開も予定しています。
メディアとしての目標は、6月で10万人のMAUと100万PV、初年度で100万人のMAUと1000万PVの達成を掲げています。動画再生回数はまず1000万回再生を目標にしていきたいです。また数字的な目標だけでなく、バイラルメディアならではの予期しなかったような化学反応が生まれれば嬉しいですね。YouTuberのマネジメントをしてきたことによって蓄積されたバイラルする動画の傾向や制作ノウハウを活かして、クオリティの高い動画を提供していきたいと考えています。
――最後に、今後の展開に向けて抱負をお聞かせください。
宮地氏:MINEは、今後日本だけでなく世界各国に展開していきたいと考えています。MINEの動画を通じて、世界中のいろいろな国に日本のことを知ってほしいし、日本の人たちに世界各国の文化を知ってほしいのです。新しい時代に突入しているデジタルの世界で、インパクトを与え続けられるような存在になりたいと思っています。世界中の人びとが視聴する動画は、言語の壁や国境を超える存在ではないかと思います。MINEを世界中の文化が交流するプラットフォームにしていくことで、そこで新しい発見やトレンドが数多く生まれれば嬉しいですね。
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