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アーティスト視点のテクノロジ活用

音楽イベントに「IoT」の波--センサ活用、生体情報で“最適化”図る

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 IoT(Internet of Things)は、注目を集めているワードの一つである。一般的な定義としては、今までネットワークと無縁だったあらゆるものがインターネットに接続されることを指す。

 具体的には、家電、住宅設備、車、ウェアラブルデバイスなどがインターネット接続され、各機器や設備が感知したさまざまな情報がクラウド上に集約される。そうしたデータを基に家電、住宅設備、車、デバイスなどが、私たち生活者の状況に合わせた“挙動”、“振る舞い”をしてくれるようになる。こうした仕組みの中で、生活、移動、購買などの“場”での体験がより最適化されたものになっていく。

 音楽体験の“場”においてもこのIoTの仕組みにより最適化される体験がある。これまで、SpotifyやPandoraといったストリーミング音楽配信サービスにおいては、レコメンデーションエンジンによって、個人の音楽嗜好に応じた楽曲が提供されることが最適化された体験のひとつとなっていたが、イベントやライブ会場という“場”においては、来場者の位置情報もしくは生体情報が感知され、それに応じた情報やコンテンツの提供が行われるだろう。

イベントにおける「iBeacon」の活用

 アップルはiOS7以降のデバイスにおいて、「iBeacon」と呼ばれるBluetooth Low Energyを利用した端末と連携する仕組みを実装した。Blue Tooth Low Energy(以後BLE)は、近距離無線通信技術Bluetoothの拡張仕様であり、IoTの仕組みを形成する重要なパーツの1つだ。少ない電力消費で作動し、人の位置を感知する「センサ」として機能する。iBeacon端末を店舗や会場内に設置しておくことで、そのデバイスを保有したユーザーが近くにきたことをBLEを利用して認識し、ユーザーに情報を伝えることが可能となる。


 たとえば野球場で、グッズショップの前を通った来場者に対してクーポンを送ったり、好きな銘柄のビールをアプリから選択してもらったりすることで売り子が座席に提供しにいくなどの施策が行われている。同様に音楽イベントでも、事前に専用アプリを作成、配布するとともに、会場内にiBeaconを設置することで、来場者の位置情報を取得し、その会場での体験に付加価値を提供する試みが実施されている。

 2014年の「Coachella Valley Music and Arts Festival」では、来場者の位置情報を把握した上で、ステージへのナビゲーションや、各会場に入った人数を把握して混雑状況を提供した。また特定の場所を通った来場者に対しては特別なステージやシークレットステージの案内、一定回数以上ある場所を訪れた人への特典の提供などもあった。

 2015年の「SXSW(South by Southwest)」では、265の会場に1000を超えるiBeaconが設置され、来場者の位置によるさまざまな情報を提供したほか、各来場者が事前に入力した情報を収集し、同じセッション会場にいる人で嗜好の似た人同士をマッチングさせる仕組みも提供された。異なる業種の人々をマッチングさせるというイベントの意図にも沿ったものとなっている。

 このように、位置情報の把握によりもたらされる会場内での体験価値の向上には、移動や購買におけるストレス軽減、その場にいることで提供されるコンテンツの享受などがある。一方で生体情報の把握によって、会場内の設備の最適化や、コンテンツ(パフォーマンス)の最適化なども考えられる。

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