8個または16個のバリエーションを選べるスポンサードスタンプ。限られた数のなかで、どのようなデザインを採用すべきか。
八木氏は3つのポイントを挙げる。1つ目は「サイン」。普段のコミュニケーションで使われる「OK!」「NO!」などを伝えるものだ。成人向けに「飲みにいこう!」という気持ちがわかるものも入っていると良いそう。2つ目と3つ目のポイントはそれぞれ、「ポジティブ/ネガティブ」を表すものと、「喜怒哀楽」を表すもののバランスがとれているか。
さらに、これらに付随して「独自性」も必要という。「これはダウンロード数を伸ばして友だちを増やすことが目的。他社もスタンプを配信している中で、しっかり目立てるかを考える。また、せっかく広告としてスタンプを提供するため、キャラクターと商材がセットで認知させられるかという点も重要だ」。
そのほか、ユーザー間で拡散される可能性が高い「面白さ」で勝負する手もある。NTT Comが配信した「2秒でいきます」というスタンプはそこそこ話題になったようで、「内輪では、スタンプ送信時に相手の後ろに控えていて、本当に2秒で行くゲームが流行った。そういった盛り上がる要素のあるスタンプも入れたほうがいい」。
NTT Comでは、スタンプの利用回数を計測したり、人気投票を実施したりして次回の制作に役立てている。「いいね!」「OK」のスタンプは、利用回数/人気投票ともに上位。人気投票で7位の「だめです」のスタンプは利用回数では2番目に多い。この結果からも、サイン系のスタンプの重要さがわかる。
また特徴的なものとして、「おやすみ」のスタンプが利用回数も人気も高かった。これも検討すべきかもしれない。
基本的に、スタンプを配信することで友だち数は伸びるようだ。しかし中には、スタンプを取得してすぐに公式アカウントをブロック(メッセージの受信を停止)するユーザーがいる。友だちでなければ情報を届けられないため、ここは対策する必要がある。
スタンプの配信期間は約28日間。NTT Comのデータでは、開始3日間で友だちの約60%(期間中に260万人増えたのなら、そのうち156万人ほど)が増える。そして、友だち追加後にすぐブロックするユーザーの大半がここに含まれるという。
NTT Comが対策を考える際に着目したのは、ユーザーが公式アカウントをブロックするタイミング。公式アカウントと友だちになったユーザーは、スタンプをダウンロードした後、公式アカウントから配信された「友だち追加ありがとう」のメッセージを開いて、そのままブロックすることが多いそうだ。
NTT Comでは、単なる「ありがとう」のメッセージを配信するのではなくて、人気キャラクターの壁紙をプレゼントする策を講じた。この壁紙は、NTT ComがOCNで扱っているコンテンツであり、それを「プレゼントする」という形で告知したものとなる。
「メッセージの通知文と最後の画像を『キャラクターの壁紙プレゼント』というような内容にする。これを見たユーザーは、ここから壁紙をダウンロードし、ブロックするのを一旦忘れる。また、今後もこういった楽しい情報がくるのではないかと考えて、ブロックするのをやめることもある。ブロック率は、およそ8~10%減少している」。
実際には、NTT Comはブロックを免れただけではなく、このピンチをチャンスに変えている。壁紙プレゼントによりユーザーをOCNのスマートフォントップページに「誘導」することに成功しており、通常のメッセージ配信の数倍の規模の誘導を、友だち追加メッセージだけで行えたという。
このように、公式アカウントの運用には、ユーザーが共感するコンテンツを配信することが大切だ。
八木氏は、各社のキャラクターなどの壁紙を“デジタルノベルティ”としてプレゼントすることを勧めている。また、プレゼントキャンペーンも有効だそうだ。「プレゼントなどが何度もあると、ブロックする気がなくなる。そういった流れもいい」。
そのほか、クリスマスやバレンタインなど、時節に沿った投稿、楽しさの伝わる写真の投稿なども1つの手なのだという。
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