Appleの音楽制作ソフト「Logic Pro X」には、大規模なオーバーホールが施され、主な競争相手であるAvidの「Pro Tools」と同じ水準に達する同時に、まったく異なる機能もいくつか導入して、2つのソフトの差別化を図った。
今回のバージョン10.1と呼ばれるアップデートでは、新機能や新たな工夫がいくつか追加されているが、全体的に言えば小幅な修正だ。電子音楽のアーティストや制作者に訴えかけるように設計された、新しいドラマーやサウンド、改善されたコンプレッサプラグイン、いくつかの高度な編集機能が追加された。
すでにLogic Pro Xを所有していれば、このアップデートは無料で受けられるが、新規で購入する場合や、古いバージョンのLogic Proしか持っていない場合、Appleのシンプルな音楽制作ソフト「GarageBand」から乗り換える場合は、199ドルのフルパッケージを購入する必要がある。Pro Toolsなどのプロフェッショナル向け音楽レコーディング・編集スイートの購入には、200ドル(アップグレードの場合)から800ドル、あるいはそれ以上かかることを考えると、これはかなりのお買い得だと言える。
Logic Pro Xには大量のソフトウェアプラグイン(オーディオトラックにEQやピッチ修正などのエフェクトかけるアプリ)が付属しており、これにはコンプレッサやリバーブ、ギターアンプのシミュレーションなども含まれている。Antaresの「Auto-Tune」やWavesのマルチバンドコンプレッサ「L3」などが、1つにつき数百ドルすることを考えると、これだけ多くのエフェクトが付属しているのはすごいことだ。
また、楽器の音色をデジタルで再現するバーチャル楽器もさまざまな種類が利用可能で、これにはピアノからギター、ビンテージシンセサイザー、エキゾチックな世界の楽器まで含まれており、すべて外付け音楽キーボードからのMIDI入力か、Logic Proや「iPad」のスクリーンキーボードを使ったノート入力で演奏することができる。
もしここまでの話がちんぷんかんぷんで、プラグインやバーチャル楽器、MIDIなどの言葉の意味が分からないのなら、おそらくLogic Pro Xは読者向きのアプリではない。シンガーソングライターや電子音楽セッション向けの、簡単にプリセットトラックやプラグインを組み合わせられる曲テンプレートの存在は評価するが、本来このソフトは、使い方の習得に時間がかかる高度な音楽制作スイートだ。もし少しかじってみるだけなら、不足を感じ始めるまではGarageBandを使うのがいいだろう。
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