川島氏は、「家事・育児を通じて地域と関わり社会に貢献することによって、仕事の能力も高まる」と語る。つまり、地域コミュニティと関わることによって、普段の仕事では得ることのできない視野や人脈が生まれ、コミュニケーション能力や組織運営能力が高まり、長期的な視点やポジティブなマインドが育まれるのだという。「“会社の常識は世間の非常識”という言葉があるが、ある地域と繋がることで世間の常識を知ることができ、視野が広がる。また会社以外で、家庭に、地域に自分の居場所を生み出すことで、ポジティブ思考になるのではないか」と川島氏。
そして、“お金がもらえない仕事”に費やす時間が、“お金がもらえる仕事”の能力を高めるという効果が期待できるのだという。「“この人と仕事がしたい!”と思う人は、お金がもらえない仕事にしっかりと時間を費やしている。家事・育児や社会活動に積極的な人が多い」(川島氏)。
家事や子育てに参画することで子どもの成長や夫婦関係に良い効果が期待でき、さらに地域社会に貢献することで仕事では得られない自分自身の成長を生み出すことができる。そして仕事も充実する。この“三方よしの人生”を未来の働き方として多くの人に勧めたいと川島氏は述べた。
加えて、川島氏はこの“三方よしの人生”について「実は、会社にも当てはまるものだ」と説明。「我が子の子育て(イクメン)」「いえのこと(カジメン)」「地域活動(イキメン)」「社会貢献(社会の人)」という子育ての4段階に対して、会社経営では「わが社の利益」「社員の利益」「地域の利益」「社会の利益」という4段階すべてが会社経営に求められることである、すべてがビジネスの1種であると説明した。そして、企業は自社の利益だけでなく、地域や社会の利益や持続性(サスティナビリティ)、社員の満足度やライフワークバランスを追求する“三方よしの会社”を目指すべきだとした。
「利益や成長だけを追求する会社はそのうち必ず頓挫する。いま日本は“経済成長”を掲げているが、私は将来の日本や欧米に高度成長はもうありえないのではないかと考えている。これからの時代、成長を前提とした会社経営や人生設計はありえないと考えたほうがいい。
これからは、GDPや経済成長率といった尺度とは異なる成長=成熟を追求する社会になっていくのではないか。個人は仕事だけでなく育児・家事や社会活動に時間を割けば必ず仕事の能力の向上に戻ってくる。会社は社員のライフワークバランスや地域社会への配慮が必ず利益や組織の持続性につながる。そういう“三方よし”を個人も会社も目指してほしい」(川島氏)。
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