AppleとIBMは12月、両社の提携から生まれた第1弾のアプリを既に発表している。それらのソフトウェアの対象となる業界には、航空、電気通信、保険、銀行、政府などがある。2015年には、IBMが消費者ほど価格と季節性に敏感ではない顧客向けに開発したアプリが、さらに発表されるはずだ。
「IT管理者が理解できる言葉を話せるパートナーを得た今、Appleはこのセグメントから価値を引き出す新たな方法に注目している」。Kantar WorldpanelのアナリストであるCarolina Milanesi氏はこのように述べた。
Appleがハードウェア、ソフトウェア、サービスをコントロールしていることは、競合他社にはない重要な強みの1つだ。これにより、ソフトウェアを自社のデバイスと緊密に統合し、ユーザー体験をより効果的に制御することができる。2014年には、Appleデバイスのユーザー向けに複数の新サービスが発表された。例えば、米国で提供開始されたApple Payでは、新しいiPhoneやiPadを使って、アプリ内や実店舗で商品を購入することができる。
Appleは、HealthKitとHomeKitという2つの新しい取り組みも発表した。9月に公開されたHealthKitは、歩数や食事量といった健康関連の情報のデータレポジトリとして機能する。この情報はほかのアプリが利用することができ、アプリで収集されたデータをHealthKitに送信することも可能だ。HomeKitは、スマートホーム向けに同様のサービスを提供する。開発者は、2015年前半の公開が予想されるHomeKitによって、ドアの施錠、照明の減光といったホームオートメーションのガジェットと機能のコントロールをiOSアプリに組み込めるようになる。
2015年にApple Watchが発売されると、Apple Pay、HomeKit、HealthKitに弾みがつくはずだ。消費者はiPhoneやiPadとともにスマートウォッチを利用して、生活の多くの側面を監視し、制御することができるようになるだろう。10月に米国でサービスが開始されたApple Payも2015年にはさらに大規模な宣伝活動が行われ、採用する銀行や小売業者が増えることになりそうだ。
AppleはiOSと「Mac OS X」の次期バージョンで、忠実な顧客を自社製品につなぎ止め、自社デバイス間の連携をいっそう強化するソフトウェアやサービスを、さらに多くリリースするだろう。
AppleがこれまでにBeats以上の金額を投じて買収した企業はない。今のところ、AppleはBeatsの音楽サービスを現在のiTunes顧客に売り込み、Beatsのヘッドホンを「Apple Store」で宣伝していることを除けば、公の場でBeatsに関連することをほとんど何もしていない。また、現時点では、iTunesとBeatsはそれぞれ独立したサービスのままだ。この状況は2015年に変わる可能性が高い。
最新の報道によると、Appleは早ければ2015年前半にも、Beatsから買収したサブスクリプション型音楽サービスをiPhoneやiPadのOSであるiOSに組み込む予定だという。そのサービス(Beatsという名前が使われない可能性もある)を自社デバイスにプリインストールすることで、自社サービスの宣伝に関して、SpotifyやRhapsodyなどの競合より優位に立つことができる。サブスクリプション型音楽サービスは新たな収益源となり、Appleのエコシステムへの顧客の囲い込みがさらに進む可能性がある。
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