LINEは生涯「未来への挑戦者」--森川氏退任への思いも - (page 3)

出澤氏 : 乗っ取りについては、皆さまにご迷惑をおかけしましたが、警察から収束宣言を出していただき、それ以降は相談もきていません。こういったものは本当にいろいろなところから永続的に狙う方がいるので、その対策は日々進化させ万全にしています。また、2014年は350以上の学校を回りました。静岡大学の教授と連携してLINEやインターネットの正しい使い方を教える専門教材を作って配ったりもしています。こうした取り組みは、皆さんの期待以上に我々自身が動いてくことが大事なのかなと思います。

舛田氏 : どう向き合っていくかというところに論点は変わってきていると思います。以前は「使わせるな」というところで止まってしまっていましたが、いろいろな方にお使いいただくことで便利なことはご理解いただいた。その上で教材を作ったり、こうしたリスクが防げますよとご説明しています。ただ、逆に子どもの方が詳しい場合に親はなかなか注意喚起することが難しい。そこのギャップを埋めるために、我々もスタッフをいろいろなところに派遣して、ご説明したうえで課題をいただいて、それをサービス側に反映させています。

海外展開の手応え、上場を見送った理由は

――海外展開についても聞かせてください。東南アジアを中心にユーザーが拡大する一方で、米国や中国では苦戦している印象を受けます。

出澤氏 : どこの国でもサービス展開は容易ではありません。各国には先行する事業者がいて、これまでもそこでトップシェアを取ってきました。いまはかなり徹底して現地化を進めています。最近ですと、東南アジア限定で同級生を探せる機能を提供していて、マーケティングにも力を入れたため相乗的に伸びています。まだ詳細は言えませんが、先日買収した「MixRadio」は欧米で使われている音楽サービスなので、そういったところも含めて、さまざまな手段で抜かりなくやっているという状況です。

舛田氏 : かなりローカルごとのニーズへの対応が進み始めています。2013年ですと、やれるのはスタンプのカスタマイズくらいだったのですが、この1年は固有のアプリやゲームタイトルを出したり戦略を変えたりと、それぞれの国に応じてバリエーションを増やせるようになってきましたね。

――2014年秋と言われていた上場を延期したことも話題となりました。改めてその理由を教えてください。

出澤氏 : 以前、森川がお話したように、いろいろなチャンスが見えているなかで、どうしてもIPOをすると守りの部分も考えないといけない。おかげさまで順調にLINE自体での収益もあがっているので、まずは事業や海外展開に集中しようと判断しました。やはり会社が成長すればいいわけで、我々が目指しているのはスマートフォンでナンバーワンになることです。資金調達は手段のひとつだと思いますが、上場の時期はまだ決まっていません。

――最後に、2014年はLINEにとってどのような年だったのか。2015年の意気込みもお願いします。


出澤氏 : 1年というスパンではあまり考えていないのですが、まさにプラットフォームに向けて方向性を打ち出せた年だったと思います。2015年はカンファレンスで発表したように、ライフプラットフォーム、そしてエンターテイメントプラットフォームの両軸で皆さんに使っていただけるサービスにしていきます。そして引き続き新しいユーザー、特に海外の方に使っていただきたいですね。これは今年に限った話ではないですが、それをより早いスピードと大きいスケールでやっていきたいです。

舛田氏 : 2014年は、LINEができた時と、プラットフォーム宣言をした時と並ぶ、もしかしたらそれ以上のターニングポイントと位置づけて、カンファレンスで思いの丈を述べました。ただ、これは簡単なことではありません。特にライフプラットフォームは(対象が)“すべて”と言っているようなものなので、その中で「LINE Pay」や「LINE@ID」をベースにいかにファーストステップを踏むかということですね。まだ発表していませんが、エンターテイメントプラットフォームやライフプラットフォームを具現化するプロダクトやアライアンスは次々と発表していきますので、さらに期待してワクワクしてもらえればと思います。

 最近、新卒や第二新卒の採用の面接官もしているのですが、「どういう気持ちでいるべきか」と聞かれるんです。その時に必ず答えるのは「我々はずっと王者ではない」ということ。日本ではトップシェアを取っていますが、基本的にはそういう小さい戦いをするためにLINEを作ったわけではありません。まだ道半ばだと思っているので、我々は未来のためにどう挑戦するか、生涯「未来への挑戦者」というスタンスだと思います。2015年はさらに未来を感じていただくために、チーム一丸となって具現化していかないといけない。そこにフォーカスする1年になると思います。

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