ランサーズではこの上半期、翻訳サービスの八楽や、動画制作のローカスといった各領域の企業と提携することで、クライアント企業の発注スキルを高める取り組みを進めてきた。従来のクラウドソーシングでは、クライアントの発注スキルによって、納品される制作物のクオリティに差が出ることが課題だった。これを解決するために重要になるのが、クラウドソーシング利用者の“ディレクションスキル”だと秋好氏は話す。
ディレクションについてもう少し詳しく説明すると、たとえば、クライアント企業がランサーズで大量のデータ入力などのタスク業務を発注したいと考えた際に、そのままプラットフォームに投げてしまうと、望んだ条件の相手とマッチングできるか分からない。数百万円規模の予算を投下することもあるため、企業としては少々不安だ。そこで、ランサーズやパートナー企業が仲介して、要件定義や最適な受注者とマッチングするスキームを作ることで、より短時間で高品質な制作物を得られるようにする。
この体制を構築するためにランサーズは8月、同社の会員データベースを外部パートナーに開放する「Lancers Open Platform」の提供を開始した。専門性を持ったパートナー企業が提供するソリューションとクラウドソーシングを連携させることで、クライアント企業がフリーランスまたはパートナー企業のどちらかを選んで、仕事を依頼できるようにするものだ。秋好氏によれば、発表以降100社以上から問い合わせがあるなど大きな反響があったという。
さらに、10月7日には日本ディレクション協会と提携し、クラウドソーシング上で活用できるウェブディレクションのスキル育成を実施することを発表した。第1弾として10月18日にウェブディレクター、フリーランサーを対象にしたクラウドソーシング活用のための共同セミナーを開催している。
秋好氏は「もちろん認知も大切だが、結局サービスが良くなければ継続して利用してはもらえない。上半期は特に個人(フリーランス)にどうやって継続して働いてもらえるかという取り組みを温度感熱くやってきた。引き続き、受注単価の問題や企業のディレクションも含めて、(ランサーズという)プラットフォーム上でエコシステムを作っていきたい」と下半期への意気込みを語った。
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