9月に登場したiPhone 6/iPhone 6 Plusでは、キャリア版の発売と同時にSIMフリー版が発売されたことで、SIMだけで格安で契約できるいわゆる「格安SIM」が注目を集めている。ソフトバンクモバイル、KDDI、NTTドコモらが販売するiPhoneと異なり、ランニングコストが大幅に安くなるという話もある。お得になるかどうか、メリットやデメリットをまとめた。
そもそもSIMフリー端末とはどんなものなのだろうか。日本では携帯電話の登場以来、そのほとんどが回線契約と端末がセットで行われてきた。少し前まで量販店で携帯電話機だけを買うことはできなかったが、最近はキャリアに縛られないSIMフリー携帯電話を単体で販売するようになってきた。
中でもiPhoneはiPhone 5s/5cを発売した約2カ月後、突如としてSIMフリー版が販売開始されたのを皮切りに、最新のiPhone 6とiPhone 6 PlusやiPad Air 2/iPad mini 3では発売日からSIMフリー版が販売されたこともあって、一部で盛り上がりを見せている。販売はオンラインのApple Storeほか、Apple Storeの各店舗に限られているが、回線契約の必要がないため、在庫さえあれば誰でもすぐにiPhoneを購入できる。
SIMフリーの特徴として、その名のとおり特定の通信事業者のSIMしか使えないという制限がないことが挙げられる。これからさらに広がりを見せると思われる格安SIM、MVNO事業者による低価格の回線の利用にも向いている。現在は格安SIMはそのほとんどがドコモの回線を使用しているため、SIMフリー版を使わなくてもドコモ版のiPhoneであれば使えるのだが、今後増えるauの回線や、登場が期待されるソフトバンク回線の格安SIMが登場した際には完全なSIMフリー機のほうが利用範囲は広い。
もうひとつ便利なのは海外旅行に行った時だ。現地のSIMを使うことで、現地で通信や通話をする際に、日本からのローミングよりも安く使えることが知られているが、それができるのはSIMフリー版である必要がある。
便利なSIMフリー版だが、日本にいて正常に使い続けるための面倒やリスクを回避したいなら、今のところは3大キャリアのiPhoneをおすすめしたい。「高い」と言われている費用についても、キャリア契約は割引などの特典が豊富で、費用に対する通信容量の大きさや、最近登場した無料通話の条件も含めると悪くない。何より、正常に使い続けるための保証がされていることがとても大きい。
というのも、SIMフリー版iPhoneとキャリアSIMや格安SIMの組み合わせは、うまく使えば大幅に費用を抑えることも可能だが、何かトラブルが起こればiPhoneが使えないケースもまれに発生する。例えばiOS 8にバージョンアップしたら格安SIMでは通信不能になってしまったmineoのケースだ。9月のOSバージョンアップ時から通信不能の状況は続いていたが、ついに10月21日「iOS 8/iOS 8.1では利用不可」という検証結果を発表した。
逆に、iOS 8になったらテザリングが可能になったというIIJmioのように改善したケースもある。しかし、また元の事態に戻ってしまう可能性がないともいえないのが難しいところだ。
これはiPhone側の問題なので、SIMの提供事業者にサポートを期待しても限度がある話で、技術担当者がブログで情報発信を行っているIIJmioなど、ユーザーが使い続けられるように努力している格安SIMを選択するのもトラブルを回避するひとつの方法だ。
また、iPhoneなどiOSに限ったことだが、接続先を設定するための「APN設定」に「構成プロファイル」が必要になった場合、ユーザーごとに接続IDが異なる格安SIMは、格安SIMの事業者が構成プロファイルを提供しにくい問題がある。トラブルを回避するためにもiOS向けの構成プロファイルの提供があり、接続IDが共通の格安SIMを選んでおくという方法もある。
とはいえ、全くデータ通信が使えなくなるのはレアケースで、たいていの問題は多少の知識とチャレンジ精神さえあれば回避できることがほとんどだ。ただ、面倒なしに使いたい場合や、信頼性を重視したい用途からすると格安SIM+SIMフリー版はなじまないことは覚えておいたほうが良い。
iPhone 6/iPhone 6 Plus対応を明記している主なMVNOをまとめた。なお、最新のiOS 8.1については、明記していないところもあるので、念のため注意のこと。
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