5月1日、いよいよSIMロック解除義務化が施行されることとなった。キャリア各社が義務化に合わせ、SIMロック解除の具体的な方法や条件などを発表する一方、義務化を商機と見た仮想移動体通信事業者(MVNO)は、次々と新たな施策を打ち出して顧客獲得に力を注いでいる。各社の動きを、改めて振り返ってみよう。
携帯電話キャリアが3社に絞られ、競争停滞が指摘されたことを受け、2014年12月に正式に決定した携帯電話のSIMロック解除義務化。5月1日より「SIMロック解除に関するガイドライン」が改正されることから、各社がさまざまな対応を発表している。まずはSIMロック解除が義務付けられるキャリア側の対応だ。NTTドコモとKDDIは4月22日、SIMロック解除の手続き方法や条件などを発表した。
これまでも一部機種を除いて、SIMロック解除に対応してきたドコモだが、今回のガイドラインに合わせてSIMロック解除手続きを変更するとしている。ドコモの端末は従来、ドコモショップ店頭に端末を持ち込み3000円を支払うことで、購入直後からSIMロック解除ができた。だが今回の変更で、その条件が大きく変わっている。
ユーザーにとってメリットとなるのは、ドコモショップに行かなくても解除ができるようになったこと。5月1日以降に発売された機種では、フィーチャーフォンやデータ通信端末以外は、インターネットまたは電話によるSIMロック解除ができるようになる。料金もインターネット経由で解除する場合と、ドコモショップでしか対応できない機種をドコモショップで解除する場合は無料になる(それ以外での解除は従来通り3000円)。
一方でデメリットとなるのは、SIMロック解除できる端末に制約が設けられたこと。5月1日以降に発売された機種は、6カ月が経過しないとSIMロック解除できない。それゆえ、いくら料金を支払っても、購入直後にSIMロックを解除することはできなくなってしまったのだ。
解除時期に制限が設けられたことは、端末購入後海外へ行く際、SIMロックを解除して現地キャリアのSIMを挿し、お得に利用したいという、従来のSIMロック解除で最も多かったニーズに応えづらくなったことを意味している。それだけに、今回の改変が発表された後から“改悪ではないか”と批判する声も上がっている。
NTTドコモ代表取締役社長の加藤薫は、4月29日に開催された決算説明会の場で、6カ月間の制限を設けた理由について、「一部のユーザーが端末を不正入手して転売する行為が散見される。悪意のある行為を防止したいという観点から、制限は必要だと考えている」と説明した。SIMロック解除を容易にするだけでは不正転売の加速につながることから、それを防止するための策として制限を設けたようだ。
だがユーザーニーズを考えれば、6カ月という制限期間が適切なのかどうか、また端末代を一括で支払ってもSIMロック解除するのに6カ月待たなければいけないことが適切なのかどうかは、検討すべき余地があるのは事実だろう。同じく決算会見の場で、NTTドコモ 取締役常務執行役員の阿佐美弘恭氏が、「現在の仕組みは社内で検討した上での結論。当面はこの仕様で実施し、ユーザーの声を聞きながら考えることも必要だと思う」と話しているように、現在の条件が変わるかどうかは、今後のユーザーの声が大きく影響してくるといえそうだ。
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