かなりおおまかだが、以下のような比較をしてみた。格安SIMは月額972円に対して3大キャリアは月額約7000円という比較だ。格安SIMの代表としてIIJmio、キャリアはauで通話定額プラン(誰でも割契約あり)を例にしたが、競合他社でもだいたい同様。端末はiPhone 6の16Gバイトモデルを想定して計算した。
格安SIMデータのみ2GB(IIJmio) | 格安SIM音声付き2GB(IIJmio) | 比較項目 | キャリア契約(auの2GBタイプ・新規契約) | キャリア契約(auの5GBタイプ・新規契約) |
---|---|---|---|---|
972円 | 1728円 | 月額料金 | 7020円 | 8640円 |
非対応 | 対応 | 音声通話 | 対応 | 対応 |
- | 30秒21.6円 | 通話料 | 無料(ごく一部回線除く) | 無料(ごく一部回線除く) |
2Gバイト | 2Gバイト | データ通信容量 | 2Gバイト | 5Gバイト |
なし | なし | キャリアメール | あり | あり |
7万3224円 | 7万3224円 | 端末代金(iPhone 6 16Gバイト) | 2年使ううちに月額費用と相殺で実質0円 | 2年使ううちに月額費用と相殺で実質0円 |
可能 | 可能 | テザリング | 可能(最初の2年は無料で以後有料) | 可能(最初の2年は無料で以後有料) |
9万6552円 | 11万4696円 | 2年間費用+端末代金 | 16万8480円 | 20万7360円 |
なし | なし | 2年を満たずして途中解約時の費用 | 機械をローン購入の場合は残債の支払いと、2年契約解除料1万260円 | 機械をローン購入の場合は残債の支払いと、2年契約解除料1万260円 |
アンテナ立たず(SMS対応サービスを選択すれば立つ。月額+151.2円) | 正常表示 | アンテナピクト | 正常表示 | 正常表示 |
なし | なし | 正常に使い続けられる保証 | あり | あり |
自分でやるか有料サポートの利用 | 自分でやるか有料サポートの利用 | 使用するための設定 | 特に設定の必要はないが、わからない場合もサポートを受けられる | 特に設定の必要はないが、わからない場合もサポートを受けられる |
なし | なし | キャリアショップでのサポート | あり(iPhoneは一部のみ) | あり(iPhoneは一部のみ) |
なし※Apple Online Storeでは1%~5%の金利で分割も | なし※Apple Online Storeでは1%~5%の金利で分割も | 端末の無金利での分割払い | あり | あり |
2年間の費用だけ見ると、格安SIMの強力さがわかる。あとはその他のデメリット項目について、あまりデメリットに思わなければ、SIMフリーiPhone+格安SIMという選択が現実的に見えてくる。
ただ、3大キャリアのほうがお得なこともある。通話がある程度あればこの金額差はあっさりと縮まってしまう。例えば月間2Gバイト同士で比べた場合、5分間の通話を月に10回してみたとしよう。30秒21.6円の通話料は5分で216円、それを月に10回するだけで2160円、さらに24カ月で5万1840円。月額通信容量が2Gバイト同士で比べてみると、キャリアとほぼ横並び。さらにキャリアならでは割引やサポートを入れれば、キャリアのほうが有利ということになる。また、これはいち早くデータ増量を発表して低価格さが際立ったIIJmioの10月以降の料金での比較だ。他の格安SIMだともう少し高くなる。
さらに表には載せていないが、MNPによる新規加入であれば、特典が豊富でさらにキャリア版は安くなる可能性がある。また、2014年の春にiPhone 5sがMNPによる新規加入であれば一括0円であちこちで売られていたという事例や、それ以外にもiPhoneは一括0円提供はよくあり、今後、iPhone 6でもそのような特価提供がないとも限らない。もし、一括0円となれば、2年間費用+端末代金の総額からiPhoneの端末代金分である約7万円ほどキャリア版のほうが安いことになる。
もちろん、通話はしないというのであれば、格安SIMはとても安くなる。その他にも違う条件があるので、これらを比較してみて、格安SIMのほうでも問題なければ格安SIM+SIMフリーiPhoneにチャレンジしてほしい。
これまでは2年間使う場合で費用を考えてきたが、毎年iPhoneを発売直後に買い換える場合はSIMフリー版+格安SIMのメリットが出てくる。キャリア版のiPhone 6 16Gバイトがうたう「実質0円」はiPhoneの代金を24分割し、その分割相当分を24カ月に渡って月々の料金から差し引くもので(月々サポート、毎月割、月月割と呼ばれる)24カ月使わなければ代金は相殺されない仕組みになる。12か月で機種変更してしまえば、残りの割引額は放棄しなければならない。
そこで、契約そのままでiPhoneだけSIMフリー版を購入し、SIMサイズが同じなら手持ちのiPhone5/5s/5cなどからSIMを差し替えて使用する方法もある。ただし、いずれのキャリアも自社で販売するiPhoneに対して動作保証をしているもので、それ以外の場合は動作保証はなくなる。また、ソフトバンクモバイルのように「SIMが異なるのでサポートしない」と公式見解を示しているところもある。実際のところは日本国内においては通常通り使えるが、「アメリカ放題」などの一部のサービスが使えないといったことがあるようだ。
各キャリアとも通話定額の新プランを導入してから制度が変更されていることもあり、最新の情報はキャリアの窓口にSIMフリーiPhone利用について相談したほうが良いだろう。持ち込みの端末をそのキャリアで使うための手続きや費用の相談として応じてくれるはずだ。
なお、SIMフリー版の特徴として、中古として売却時にリセールバリューが期待できることもある。将来の話なので本当にそうなるかわからないが、現時点で海外購入のiPhone旧モデルのSIMフリー版は、キャリア版よりも高値で取引されることもある。また、SIMフリー版の希少さや、今後のSIMフリーへの流れや需要などからも高値となる可能性は十分あるだろう。
今年は3大キャリアの料金プランが通話料込みに移行しつつあり、月額コストが増加することから格安SIMへの注目が集まっている。単に料金だけ比較し、通話をしなければSIMフリーiPhone+格安SIMのお得さは際立っている。
一方で、サポートの問題やOSのバージョンアップによるリスクも、金に換算するのは難しいが考慮する必要がある。自分がどのような使い方をするのかをよくシミュレーションしてから、損か得を判断したい。
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