仕掛け人は「2人」いた--“グソクブーム”誕生の舞台裏 - (page 6)

井指啓吾 (編集部)2014年09月13日 10時00分

 放送中の長尾氏は、ただずっと水槽を映しているわけではない。音声でのナビゲーションや飼育員への質問、視聴者を楽しませるための演出などを行っている。コメントの拾い方やリアクションが面白いこともあり、長尾氏は視聴者に愛されている。niconicoユーザーによるオンライン百科事典「ニコニコ大百科」には、「長尾(運営)」も登録済みだ。

  • 番組放送中に年齢をバラされていたこともあった。たしかチンアナゴの時だ

 「いつの間にか『長尾は絶対許さない』というグソラーの合い言葉みたいなものができて、『え、僕がなにかやらかしましたか?』と答えるとさらに『そんな長尾も許されない』とくる感じで、すでにテンプレが確立されている。そんな運営いじりも放送の楽しみ方だったりする」(長尾氏)。

【放送を楽しむための基礎知識】

「長尾は絶対許さない」(略して『長尾絶許』とも用いられる)とは?

  • 視聴者が長尾氏を弄るネットスラング
  • 許されないような事をした事実が過去にあったという訳ではない「と思う」(長尾氏)
  • 「絶許」が発生するタイミングを分析すると、ユーザーにとって嬉しい事(視聴者プレゼント企画など)を長尾氏が提供した場面で『それでも、長尾は許されない』などと逆説的に用いられることが多い
  • 今では「長尾絶許」=「長尾ありがとう」という視聴者からの感謝の辞であると強引に解釈するように長尾氏はしている
  • 上記のくだりを知らない人は「長尾氏は過去に何か炎上歴でもあるのか?」とその人間性を不安視されるなど誤解を招く場面も多々でてきており、軽い営業妨害に感じる時もあるとしている

 「(長尾氏は)いま見始めた人に向けて、水槽内の図を描いて、NO.1はこの位置、あの子はこの位置、この子はこの位置というのを定期的に紹介したりもしています。長時間の番組なだけに、いつ見てもユーザーが飽きないような作り方もいいのかもしれないです。この番組シリーズが、水族館や動物園を好きになる一つのきっかけになれば嬉しい」(西本氏)。

 筆者は、4月に開催されたニコニコ超会議3で初めてダイオウグソクムシに会った。薄暗い特設スペースに置かれた水槽の底で、灰白色の甲羅の下に華奢な脚をきちんと揃えて、体をじっと落ち着けていた。瞳は黒く沈んでいて、しかつめらしい顔には不思議な温かみがあった。

 深海に生息するダイオウグソクムシから始まり、チンアナゴ、コツメカワウソ、ハダカデバネズミ、パンダと徐々に陸に上がってきた動物生中継シリーズ。この先空まで昇るのかはわからないが、世界各地に棲む動物の魅力が伝わるような、楽しい番組が続くことを願っている。


ニコニコ超会議3で会ったダイオウグソクムシ。来年も会いたい

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