ドワンゴとKADOKAWAは5月14日、経営統合することを発表した。新会社であるKADOKAWA・DWANGOの代表取締役会長には、ドワンゴ代表取締役会長の川上量生氏が就任。KADOKAWA取締役会長の角川歴彦氏は取締役相談役となる。
同日に開催された発表会では、両氏が統合への思いを語った。
「私はようやく、“天才”川上君という若き経営者を手にした」と角川氏は川上氏を絶賛、大きく期待を寄せている様子だ。「川上君の複雑な発言の、皆さんが理解しにくいところを翻訳し伝えるのが私の仕事。それが“相談役”という立場」とも話す。
「川上君には、KADOKAWA・DWANGOの所帯の大きさをきちんと認識してもらいたい。これからの時代の変化の中で大洋に乗りだし、経営者として行き先を示していくことを信じている」(角川氏)。
一方で川上氏は、角川氏からのプレッシャーを受けながらも余裕の表情。「相談役という一旦退いたような役職を名乗っている(KADOKAWAの)角川歴彦会長が本当に経営の一線から退く気があるのか。スタジオジブリの鈴木プロデューサーに弟子入りし、NHKと一緒に宮崎吾朗監督とアニメを作っている(ドワンゴの)私が本当に経営を引き受ける気があるのか。……こう思われている2社が今回合併したことで、誰がどのように運営していくのか、いぶかしく思っている人もたくさんいると思う。その懸念は当たっているんじゃないか」と話し、会場を笑わせた。
ドワンゴとKADOKAWAが“一緒になる”新会社だが、プラットフォームがコンテンツを囲い込むような状態にはしないという。川上氏はこれを「オープンな統合」と表現。「コンテンツとプラットフォームを組み合わせて何かを生み出すところに、統合会社の意味があるんじゃないかと考えている」と述べた。
「これは双方に言えるが、当然、KADOKAWAはこれまで通りYouTubeにもコンテンツは提供するだろうし、ドワンゴもKADOKAWA以外のコンテンツを扱う」(川上氏)。
一方の角川氏も「コンテンツ視点でプラットフォームを作ろう。コンテンツ事業者も、コンテンツそのものも囲い込まない。オープンなプラットフォームを作りたいという夢を持っている」と川上氏と同じ思いであることを明かした。
角川氏は新会社での取り組みについて「(KADOKAWAの)編集者の隣に(ドワンゴの)技術者が座るイメージ」と説明する。“クールジャパン”をリアルで推進してきたKADOKAWAと、ネットで推進してきたドワンゴが一緒になることで「21世紀のイノベーションを実現しないといけない」と語り、「世界に負けない“日の丸プラットフォーム”を両社の力で作ろう」と意気込んだ。
新会社は「“プラットフォームのドワンゴ”と“コンテンツのKADOKAWA”が合わさったもの」と認識されていそうだが、川上氏によれば「もともと両社はプラットフォームとコンテンツの両方をやることを目指してきた会社」だ。プラットフォーム事業者として見られがちなドワンゴは、ニコニコ超会議に加え、ニコニコ生放送やニコニコニュースなどでオリジナルコンテンツを作っている。一方でKADOKAWAも、書籍や雑誌などのコンテンツだけでなく、書店販売網というプラットフォームを持っている。
「日本でこれからコンテンツをネットで展開していく上では、コンテンツとプラットフォームを両方展開していくのがベストなモデル。ネットの世界とリアルの世界で、コンテンツとプラットフォームの両方を提供してきた会社が一つになるというのは、非常に相性がいいんじゃないか」(川上氏)。
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