消費者とAmazonのエコシステムの結びつきをさらに強めるため、Bezos氏は99ドルのPrimeサブスクリプションサービスに投資してきた。Prime会員は、同サービスを利用していない顧客と比べて、少なくとも2倍のお金を使う。第2四半期のPrimeストリーミング音楽の追加といった直接投資に加えて、Amazonは同社の動画ストリーミングサービスを補完するためにFire TVを発売した。さらに、ユーザーがAmazonのアプリを利用し、Primeを通してAmazon.comからより多くの商品を購入したくなるように、Fire Phoneを投入している。
Amazonはオリジナルコンテンツへの投資も行っており、2014年第3四半期に1億ドルを投じて番組を制作すると発表した。今のところ、Amazonの制作した番組はどれもNetflixのオリジナル番組のような成功は収めていない。
こうしたサービスへの投資額は過去2年間、売上高とほぼ同じペースで増加している。Amazonの第2四半期(6月30日締め)の営業経費は193億5000万ドルだった(第2四半期の売上高は193億4000万ドル)。支出は前年比で24%増加している(前年は156億ドル)。
競合他社の支出はAmazonほどではない。Appleの第2四半期の営業経費は45億ドル、売上高は374億ドルだ。自動運転車やメカ動物といった野心的なテクノロジプロジェクトへの取り組みで知られるGoogleは、支出が117億ドル、売上高が159億6000万ドルだった。
金融市場はBezos氏の大規模投資に慣れているが、Amazonの先ごろの損失と、第3四半期もさらに損失を計上する可能性があるとの予測が重なって、同社株式が売却された。7月29日の終値は41セント安(下げ幅は1%以下)の320ドルだった。
確かに、決算発表後にAmazonの株価が下落したのは今回が初めてではない。
Bezos氏は先々週の決算報告書に添えられた声明で、「Amazonの顧客体験をより良いものにするため、懸命の努力を続けている」と述べた。
Amazonの規模を考えると、これまでと同じペースで売上高を伸ばすのは不可能だということに、投資家たちはようやく気づき始めたのかもしれない、とDoshi氏は言う。金融市場にしてみれば、Bezos氏がオリジナルコンテンツのようなプロジェクトに賭けるのを見るのは容易なことではない。同氏が少しペースを緩めて、投資家たちに一息つかせてくれたら、投資家も同氏の次のアイデアを受け入れることにもっと前向きになるかもしれない。Bezos氏はきっと次のアイデアを思いつくはずだとDoshi氏は語る。
今では約2500万人の会員数を誇る年会費99ドルのPrimeサービスは、Bezos氏の賭けの典型的な例だ。Doshi氏は、「最初は多くの人が『ばかげている。確かに利幅は大きいが、商品を2日以内に届けるためのコストがあまりにも高すぎる』と考えていた」と述べ、数年間、Amazonの株価に悪影響が及んだことを指摘した。「その後、Primeの本質が理解されるようになった。Primeに対する評価は、奇妙なサービスから、それほど悪くないアイデア、そして最も素晴らしい事業計画の1つへと変わっていった」(Doshi氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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