(編集部注:米CNETによるAmazon初のスマートフォン「Fire Phone」のレビューを前編と後編の2回に分けて翻訳して公開します。後編は8月7日に公開されています)
4つのモーショントラッキングカメラを備え、巨大ショッピングサイトであるAmazonの会員特典もついた同社の4.7インチ「Fire Phone」は、競争が極めて厳しいスマートフォン市場に、疑似3D表示機能「Dynamic Perspective」、「Firefly」スキャニングボタン、リアルタイムヘルプデスクアプリ「Mayday」などの業界でも初めての機能を詰め込んで乗り込んだ。Amazonはまた、期間限定ではあるが、新規ユーザーにも既存ユーザーにも1年間の「Amazon Prime」会員権を提供して、購入者を引き付けようとしている。これらの付加的な要素は、総じて宣伝通りの働きをしており、他のスマートフォンには見られない機能を提供している。
残念なのは、価格がプレミアム水準(通信契約ありの場合200ドル、端末のみの場合650ドル)であるにも関わらず、性能はそこそこで、仕様も最上級とは言えないことだ。クアッドコアのQualcomm「Snapdragon 800」プロセッサは応答がぎこちなく、バッテリは思ったよりも早く減り、発熱はバターを溶かしてしまうほどだ。また、Fire Phoneは(Amazonのほかのタブレット同様)かなり手を入れたバージョンの「Android」を使っており、専用のアプリストアでは「Google Play」のサービスはブロックされている。この最後の問題は、多くの人にとっては致命的な問題だろう。「本物」のAndroidスマートフォン(あるいは「iPhone」)で使える「Google Now」や「Google Maps」などの、よく使われるサービスにアクセスできないからだ。
Fire Phone(現在のところAT&T限定)の試みは大胆で野望にあふれており、使っていて楽しい。だが、すべての恩恵を受けるには、Amazonのエコシステムにどっぷり浸かる必要があるし、ライバル製品では得られないようなAmazon独自のサービスもそれほどない。Fire Phoneがいずれ必然的に値下げされ(たとえば通信契約ありで99ドル以下)、使わずにはいられないようなアプリをAmazonがアプリストアで提供してくれれば、Fire PhoneはAmazon Prime中毒者以外にも勧めやすいものになるだろう。それまで、Androidファンならば(あるいは、お買い得なものを探している人ならば)、LGの「G3」、サムスンの「GALAXY S5」、HTCの「One M8」あたりを選ぶべきだろう。
ユーザーを見つめ返す4つの目に注目してほしい。この四隅にある赤外線カメラはディスプレイとユーザーの頭の相対位置を検知しており、OSのあらゆるところで、一種の3D効果を作り出している。これらのカメラは、Fire Phoneの外見でもっとも大きな特徴になっており(背面のAmazonロゴを除く)、それ以外はほとんど目立ったところのない黒いボディをしている。別の言い方をすれば、このスマートフォンの見た目は同クラスの他のスマートフォンと代わり映えがしないということだ。
アマゾンのデザインはすべてが洗練されていて、それが比較的縦長で幅が狭いシャーシ(139.2mm×66.5mm×8.9mm)、鏡面仕上げの背面、丸みを帯びた外枠などに現れている。この寸法は、ポケットに入れるにも、片手で操作するにも向いているが、背面がガラスになっているため割ってしまう危険があり、指紋の跡が付くのも避けられない。5.64オンス(160g)という重さはかなり頑丈そうな印象を与えるが、1度落としてしまったところ、右上の角に少しへこみがついてしまった。
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