Amazonの最重要人物がJeff Bezos氏であることに疑問の余地はない。
Bezos氏は1994年にAmazonを創設してから、莫大な金額を投じて、同社を世界最大のEコマース企業に育て上げた。同氏は現在、Amazonをさまざまなグッズやコンテンツサービスのハブに変えるため、さらに巨額の投資を行っている。そのハブは、顧客が望むのなら、先ごろリリースされたストリーミングメディアボックス「Fire TV」やスマートフォン「Fire Phone」といったAmazonブランドのデバイスからアクセスできるというものだ。
それは、スピーディな配送や低価格を求め、質の高い番組を無制限に視聴したいという要求を強める消費者にとって、好ましい結果となっている。
しかし、こうした野望には代償が伴う。Amazonが先々週発表した決算は、アナリストの予測を大幅に下回った。その原因は、Bezos氏の目標達成のために多額の資金が必要なことだ。Bezos氏の投資金額は過剰であるとの株主の懸念を反映して、同社の株価は下落した(決算発表の翌日に10%下落し、米国時間7月28日と29日も低迷していた)。
しかし、アナリストらによれば、投資家はBezos氏を信頼しているので問題ないという。
「同氏はゼロから(Amazonを)築き上げたので、このような信頼感を与える。投資家たちがかつてないほど強い不満を抱いているのは間違いないが、大半は今も待ち続けている」。MacquarieのアナリストであるBen Schachter氏はこのように述べ、Amazonが莫大な売上高を記録していることについて(第2四半期の売上高は計193億4000万ドル)、Bezos氏を評価した。
投資家は昔からBezos氏の事業戦略を信頼している。その戦略には、Amazonが新しい市場に進出し、自社のデバイスと「Amazon Prime」サブスクリプションサービスによって消費者への販売を拡大するために、損失を計上することも含まれる。Amazonはこの2年間、売上高(と支出)を一貫して増やしてきた。
クラウドコンピューティングへの積極的な取り組みと、Amazonのマーケットプレイスで商品を販売するサードパーティーからの売り上げによって、Amazonは第2四半期、売上高を23%伸ばした。新しい分野への大規模な参入は、Bezos氏がよく実行する戦術だ。「Amazon Web Services」(AWS)はこの戦術の比較的新しい例だが、Bezos氏はそれ以前にも同じことをしている。例えば、書籍以外の製品の販売を開始したときや、拡大を続けるAmazonのハードウェアラインアップの最初のガジェット「Kindle」電子書籍端末を発表したときなどだ。短期的には利益を上げていないが(Amazonが先々週発表した第2四半期の損失は1億2600万ドル)、長期的な見方をする人は多額の利益を見込んでいる。
CRT Capital GroupのアナリストであるNeil Doshi氏は、次のように述べた。「大きなチャンスがあれば、Bezos氏はそれをつかむために全力を尽くす。そのせいで利益が圧迫され、株価が下落するかもしれない。しかしAmazonは、最終的にそれをつかむことができる。同氏がチャンスへの挑戦に積極的なのはそのためだと思う」
Bezos氏は同社の成功に欠かせない存在だ。同氏はAmazon株式の18%を所有する筆頭株主であり、最高経営責任者(CEO)と取締役会長を務めている。もしBezos氏がAmazonを去ることになったら何が起きるのだろうか。この質問に対し複数のアナリストが、Bezos氏の意欲を考えると、理解しがたいことだと答えている。
NeedhamのアナリストであるKerry Riceは「Bezos氏がAmazonを去ることは決してないだろう」と述べた。
「もし同氏が去ったら、(Amazonの)株価は壊滅的な打撃を受けるはずだ」(Schachter氏)
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