日本のスマートフォン広告市場規模が大きく伸長している。2013年は前年比193%となる1652億円。企業によるスマートフォンユーザーを対象としたマーケティング活動がより一層強化され、スマホ広告需要の裾野が前年より大きく広がった。スマートフォン広告市場で高いシェアを持つサイバーエージェントの子会社CyberZによれば、2014年には2300億円、2016年には3000億円を突破する見込みだ。
サイバーエージェントは2013年、スマートフォン広告市場全体の22.9%を占める377億円を売り上げた。直近(2013年4月~2014年3月)ではさらにシェアを伸ばし、全体の27%となる446億9000万円を記録している。
サイバーエージェントが優位性を確保している要因はなにか。同社の常務取締役でインターネット広告事業を管轄する岡本保朗氏に聞いた。
現在、サイバーエージェントのインターネット広告事業の売上は約6割がスマートフォン広告によるものになっています。多くのメディアのトラフィック構造がPCとスマートフォンで逆転していると思いますが、そういう世界になるだろうと以前から考えていました。
(同社のスマートフォン広告事業が伸びている)ポイントは2つあって、まず子会社を作ったこと。スマートフォン広告の代理店「CyberZ」や、スマートフォンに特化したアドネットワーク、アドテクノロジ(アドテク)の「AMoAd」、リワード広告の「CAリワード」など……そのような広告事業ドメインのスマートフォンの専門子会社をいくつも作り、一気に集中して事業を立ち上げました。
また、広告事業の代理店の一番大きい部門があるんですが、その中にもスマートフォンの専門部署を作り「スマートフォン広告以外は販売しない」と定めました。
そのように早期から集中して取り組んだことで、どこよりも早くノウハウが蓄積されました。それに加え、成長市場であることもありトラフィックがどんどん伸びたため、各サービスも大きく伸びて、スマホ広告事業全体が一気に拡大しました。
もう一つの要因は、全社横断で「スマートフォン企業になる」という方針を打ち出し、「KING 100(キングワンハンドレッド)」というプロジェクトに取り組んだこと。これはスマートフォン広告を扱う各部署で連携し、スマートフォン広告の売上を2013年7~9月の3か月間で100億円にするというものでした。このように全社的に事業を推し進めたため一気に成長できたのだと思います。
全部伸びていますね。ただ市場として注目を浴びているのはRTB(オンライン広告枠にリアルタイムで入札をする仕組み)の分野。最近フリークアウトが上場するなど、DSP(広告配信プラットフォーム)というRTBを使った機能を持つ広告商品に各社が注力し始めている状況です。
スマートフォン広告市場の伸びは、今のところ止まる気配は全くないです。メディア自体がスマートフォンに適していかないと生き残れなくなっており、たとえばFacebookやLINEなど、スマートフォンに適したものは大きくなる。トラフィックもどんどんスマートフォン化してきていて、今までPCでやっていたネットワークの事業がどんどんスマートフォンに移っています。しばらくこの流れは止まらないのではないでしょうか。
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