国内の事例で言えば、サッポロビールが手掛ける「百人ビール・ラボ」が特徴的だ。発酵タイプ、アルコール度数、香り、苦味、商品名、キャッチコピーなどをそれぞれ決めるという企画で、「みんなでつくるビールの未来! ビール開発総選挙」という副題がついている。たとえば昨年行われた第2弾では、のべ1万7000人が参加し、約1万件の投票によって「ビール愛好家が飲みたいビール」を決定。その結果開発されたビールは、「百人のキセキ」として、2013年の暮れからネットショップで販売されている。
この際、コメントなど参加頻度をポイント化することで、ポイント数上位の「百人ビール・マイスター」を選出し表彰したほか、1位を決めて「自分のつくりたいビールを作れる権利」を贈呈した。
この2つの例は、形は違うが、いずれも共創コミュニティと言えるものだろう。開発やサービス向上にファン自らが参加することで、そのロイヤリティをさらに高めてもらい、その結果、ブランド価値の伝道師となってもらうというやり方である。
この話には、表層的にはモバイルやスマートデバイスは登場しない。ただ、こうした参加意識を高め、さらにそれをSNSと結びバイラル効果を高めるためには、スマートデバイスの力が非常に重要となることは想像に難くない。いつでもどこでも簡単にアクセスして投稿できるスマートデバイスの存在なくしては、こうした施策がここまで広がりを持つことはなかっただろう。
簡単と言うだけではなく、より深く心情に訴えることができるのが、身近に持ち歩くスマートデバイスの特徴だ。その特質が、“共創”“コミュニケーション”というキーワードに似合うのだ。さらに言えば、共創マーケティングで重要なのは、短期的な施策ではなく中長期の戦略であり、顧客の生涯価値を担保するという気構えだ。そうした継続的なコミュニケーションに欠かせないのもまたスマートデバイス、すなわちモバイルであろう。
こうしたモバイルの必要性は、マーケティングのさまざまな場面で顕著であり、「+Mobileマーケティング」の重要性の証左と言える。
(執筆:カケザン Chief planner/CEO 磯雅範)
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