中川氏によると、日本は米国よりも小中学校、高校でのクラウドサービスの利用が遅れているという。「日本での教育分野のクラウド利用率はまだ米国の半分程度。教育分野ではクラウド活用のガイドラインが決まりきっていない部分があった。それがこの1~2年で固まってきた。今後、この分野での活用の広がりに努めたい。国内ナンバーワンの座に甘んじることなく、さらにサービスを強化したい」
Office 365 Educationを導入している東京理科大学のICT環境担当理事で工学部第一部学部長の半谷(はんがい)精一郎氏は、「理系のDNAを持った2万5000人の在校生のほか、卒業生や教員など20万人のネットワークを構築中であり、Office 365のコミュニケーションで同じ価値観を持った人たちが情報を共有できる。グループ単位の実習やそれに伴う情報も共有でき、教職員同士がフェイストゥフェイスで簡単に打ち合わせできる。今後はサイドバイサイドの考え方で世界中の同窓生ともつながり、大学の研究活動のグローバル化にも活用していきたい」など述べた。
大阪大学のサイバーメディアセンター 情報メディア教育研究部門の准教授を務める清川清(きよかわ・きよし)氏は、「大学でもITに対する予算が厳しくなっており、ライセンス費用の問題やBCPの観点からのサービス継続も考えなくてはならない。約13万2000人におよぶ在校生や卒業生もサポートしていく必要がある」と大学を取り巻く環境を説明した。
「Office 365 Educationでは、既存システムをそのまま使い続けた場合に比べると85%のコストダウンが図れ、この3月に卒業した卒業生もそのまま利用している。YahooとGoogleと比較した結果、国内法を適用できることなどの観点からOffice 365 Educationの導入を決定した。ログイン画面にバナーが設定できないなど痒いところに手が届かないという課題はあるが、セキュリティの面や継続性の面でも評価している」(清川氏)
これに対して中川氏は「近々、ログイン画面にバナーを出せるように改良する。利用者の声に柔軟に対応していく」としている。
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