続いて、もう一人のゲストとして、ザ・ハフィントン・ポスト プロダクト部門統括責任者のニコ・ピットニー氏からは、9年目を迎えた同サイトのこれまでの活動が紹介された。現在、米国で3位のニュースサイトになっているほか、米国以外での展開が進み、日本、ラテンアメリカ、北アフリカなどでも運用が始まっている。
インドや中東はこれからで、ライブビデオによるニュースを日に8時間流すなど、新たな方法にも取り組んでいる。創設時はサイトづくりに注力していたが、今は読者がどこにいても情報を届けることに注力している。
電話やタブレットといったデバイスの違いだけなく、ソーシャルメディアも活用し、新しい技術も積極的に取り入れている。同じコンテンツを他のメディア向けに再パッケージすることも始めているが、読者にとって最善の方法で伝えるのが大事で、インフォグラフィックスやインタラクティブなども検討し、ラテン向けサイト「Latino Voices」やノスタルジアな情報を集めた「BuzzFeed」といった、カテゴリ別の発信も挑戦している。
記者や編集者に対しては、リアルタイムで反応を知らせている。理由は、今までよい記事の判断は勘に頼っていたのに対し、データを元に効果をはっきりわかるよう分析するためだ。たとえば、今まで怒りや恐怖などネガティブな記事が人を引きつけるとされてきたが、ポジティブジャーナリズムという視点で読者の反応を分析し、ユーザー参加の機会も増やしていくとした。Twitterから注目ニュースを探して配信先を探すビジネスも検討し、個人的なニュースも境域や学校などのカテゴリでは興味が持たれることから、視点を変えた記事を配信することも考えられている。
読者参加型としては、ユーザーが自分なりの予想ができる選挙チャートを2009年に作成したが、専門家や友達と比較したり、自分なりのデータの見方を他とくらべるなど、データに対するリテラシーを高める場にもしたりできるので、今後も計画中だという。ビジネスとしてはまとめサイトを脅威に感じていたが、外部サイトも読者に有益な情報であればリンクで紹介するよう方針を決めたところ、それが評価を高めた部分もあるという。
最後に伊藤氏から、ニューヨーク・タイムズと異なりハフィントン・ポストはビジネスと編集が一緒であることについて、どんな効果があるのかと質問があった。それに対しピットニー氏は、より多くの人に記事を読んでほしいが、まず記者が記事に入り込んでほしいし、人気取りで記事を作るような記者にならないためにもデータから自分の記事を理解する必要があるのではないかと回答した。
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