「ウェアラブル」をテーマにしたカンファレンス「Wearable Tech Expo in Tokyo」が3月25~26日に開催された。主催者の一角である朝日新聞社のメディアラボにこのカンファレンスの意義や開催にかける想いを以前聞いたが、実際に開催してどういう手応えがあったのか。また、メディアラボとして今後はどう取り組んで行くかなどを、朝日新聞社のメディアラボ室長である高田覚氏、メディアラボプロデューサーである竹原大祐氏に改めて聞いた。
高田氏:朝日新聞社のメディアラボは2013年6月にスタートしました。ちょうどそのころ、米国で動きが始まった「ウェアラブル」というテーマが、今後新しいテクノロジーを活用して、新しい情報発信やメディアの開発に挑戦しようとしているメディアラボにとってはふさわしいテーマでした。
2日間で1000人を超える方々にご来場いただきましたし、自分たちメディアラボのメンバーも楽しめました。最先端の技術を持った方々にご参加いただいて、ウェアラブルに関心のある企業、その中でも技術者や開発者のみなさんが朝日新聞社のメディアラボのブースに来ていただいて、活発な議論ができました。今後、メディアラボとして、次につなげられるような活動をしていきたいです。
竹原氏:みなさんの熱気がすごかったです。こういうことをやってみたい、ということを議論できる場だったということがすごくよかったです。ブースにいらっしゃった方にお聞きすると、みなさんそれぞれに新しい技術に関して研究しているんですが、こういうイベントがあったからこそ、初めて他者の方々とさまざまな話題を共有したり、共感したりして議論できたのがほんとうに意味があったと思っています。
ウェアラブルというものは、身につけて人の五感にどんどんつないでいくということで、僕らはこうしたことがすべてメディアになるのではないかというお話をさせていただきました。この考えを「実際に感じられた」と言ってくださる方が多かったのもうれしかったことです。僕たちも、いろいろと実験的なモノを出展しましたが、さまざまなこうしたモノを体感できたということも評価していただけました。また、海外のメディアの方々の関心も高かったので、なんらかしら、こうしたウェアラブルを活用したメディアの波は来るだろうという手応えを感じました。
竹原氏:おかげさまで、Google Glassのバッテリーが追いつかないほどの人気となりました。主催者が目立ってどうするんだという話もありますが(笑)。各方面から問い合わせも多く、メディアラボとしてコンセプト実験はうまくいったと考えています。
高田氏:Google Glassを6台用意したのですが、バッテリーが1時間で切れてしまうので、次々に充電して、常時2~4台程度を稼働させていましたが途切れることがないくらいたくさんの方に来ていただきました。触って、体験できたというのがよかったと思います。
竹原氏:ログバーの指輪型入力デバイス「Ring」のデモンストレーションがすごかったですね。動くのを実際に見て、会場から感嘆の声が上がっていました。また、没入型のゲーム体験を提供するSulon Technologiesの独自VR技術「Cortex」も人気でした。現実の空間にVR技術を使ったモンスターが出てきて攻撃するという形でしたが、1時間待ちとか、2時間待ちとかだったらしいです。トヨタの1人乗り二輪車「Winglet(ウィングレット)」も同様に人気でした。
講演では、キーノートの中でも触れましたが、2020年に開催される東京オリンピックが、ウエアラブル・デバイスでどのように変わるかをテーマに議論したパネルディスカッションが人気でした。夢のある話がされました。
高田氏:たとえば、聖火が通ると、みんなが持っている端末が波のように光るといったことをやったらいいのではないか、などという話が交わされていました。
竹原氏:現状“紙”を主体としている私たち単独でやっていけるものでもないと思ってます。たとえば、街と共に「ウェアラブル」という世界を作っていきましょう、という方がいらっしゃれば、じゃあ、お店と連動しましょうとか、街をジャックしてみましょうとか、いろいろと問い合わせをいただいている方々と連携して取り組んでいくべきでしょう。柔軟な発想で考えていきたいです。
高田氏:Google Glass自体もまだ日本では使えない状況ですし、これからでしょう。タブレットやスマートフォンが普及していく中で、今後普及するであろうウェアラブル端末も含めて、メディアが発信する先の重要な位置を占めるでしょう。メディアとしてどう取り組んで行くか、その可能性をさらに追求していきたいと考えています。
竹原氏:これはみなさん次第だと思ってます。こういう場がもっともっとほしいという声が高まれば、やるしかないでしょう。詳細はまだ決めていませんが、状況をみながら判断していきます。
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