Nikeブランドプレジデントのトレバー・エドワーズ氏は、「フットボールには歴史に残るゴールの瞬間がいくつもあるが、その頻度は最近増している」と話す。
その理由は“スピード”だ。選手がより速く、強く、創造的になっているからだという。特にW杯はアスリートに“国の夢”がかかる瞬間であり、選手は世界から注目が集まる中でベストを尽くさなければならない。主に製品で選手をサポートするNikeは、「Nikeの進化を見せる究極の時にもなる」(エドワーズ氏)と意気込む。
Nikeパフォーマンスフットウェア担当副社長のフィル・マッカートニー氏は、「マーキュリアルの全てを一言で表現するなら、スピード」と話す。
1998年に登場した初代「マーキュリアルR9」の目標も、“最速のプレーヤーに最速のブーツを作る”というものだった。新しい世代が生まれるとともにさらにスピードを加速させ、軽く強く耐久性のある素材を追い求めてきた。
今回のスーパーフライにおける重要な役割を占めるのは、先進的な技術であるフライニットだ。新しい3本の糸で編みこまれたフライニットにより、スリムな足に合ったブーツを作ることができるほか、足とボールの間にある素材をさらに減らし、重要な局面や高速プレー時にプレーヤーのボールコントロールを高められる。「単に一歩進んだというよりも、革命的な変化」と説明した。
また、フライニットによるフィット感によって、足の延長線になるような一体感が得られ、足首と足のひざ下までを連動できるという。「スパイクを邪魔に感じず、ボールに速く追いつき、速く動けるようになる」とした。
もう一つ重要な役割を担う機能は、アッパー(靴の上部)に直接編みこまれ、アウトソール(地面に触れるシューズ底面)に固定されているスーパーフライの“ブリオケーブル”だ。かかとをサポートするために腱のようなサポートでつなぎ、スーパーフライは、スリングショット(Y字形の構造物の2つの先端にゴムのバンドを取り付けて小石などではじくもの)のような役割を果たし、プレイヤーの足を前に推進させる。さらに、屈曲性の高いフルレングスのカーボンプレートも特長の一つだ。カーボンプレートは、突き上げ感をなくす工夫をしながらも3層構造から2層構造に薄くすることで軽量化したという。
さらにスパイクのかかとの部分にはスタッド(スパイク裏の突起物)を追加して安定性を向上させたほか、つま先に追加したスタッドは足が地面を蹴りだす最後の10%の重要な動きの中でグリップ性と推進力を高めたという。
「この4年間、新しいスーパーフライの開発に携わる中でプレイヤーから聞くことは、サッカーが変わっているということ。前よりも激しいスピードでサッカーが変わってきている。プレイヤーの体力、筋力、身体能力が高まり、技術力も高まっているということ。そのような変化に合わせて彼らは速くなることが必要になる。一瞬のスピードが勝者と敗者を分け、チャンピオンとその他大勢を分ける。Nikeはすべてのプレイヤーの最高のプレーのためのブーツを作る。その意志と完璧への挑戦が私たちを突き進めている。そしてこれからフットボールはまた違ったものに変わっていくだろう」(マッカートニー氏)
なお、一般向けに「ナイキ マーキュリアル スーパーフライFG」を5月26日からNike.comで予約注文の受付を開始する。価格は税込みで4万2120円(24.5-28.5cm)。6月12日にNike.com、6月13日より一部専門店などで販売するほか、日本のハードグランド用に開発されたブレードタイプHGソールを装着した超スピードモデル「ナイキ マーキュリアル ヴェイパー HG-V」も展開する。価格は税込みで2万1060円(24-30cm)。
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