サンフランシスコのT-Mobileネットワークを使った通話品質テストでは、GALAXY S5は期待通りの性能を発揮した。ほとんどの場合において、音声は極めて明瞭で、くぐもった感じもなく、音声が途切れることもなかった。
音声品質は自然であり、音量をほぼ最大に上げると十分な音量となった。ただ、騒がしい場所で使用する時のために、もう少し音量に余裕があればよいと感じた。GALAXY S5には、サムスンの他の携帯電話と同様にデジタルサウンドブースターが搭載されているものの、この機能はうなり音やスクラッチノイズといった耳障りなノイズを作り出すため、あまりお勧めしない。
通話品質のテストに以前から協力してくれている相手は音量について、非常に大きく、不快に感じる1歩手前だと述べていた。しかし、音質は明瞭でノイズもないとのことであった。音声のトーンは暖かく自然であり、固定電話で話した時と比べると少し生き生きした感じに欠けるくらいだった。
ただ、スピーカーフォンとなると話は違ってくる。腰の位置にまで持っていくと、音量は通話相手側と筆者側の双方でかなり低下した。通話相手の声は遠くに聞こえ、音量を最大にしてもこもった音になった(通話相手は「崩れそうなくらいに弱々しい」と表現していた)うえ、筆者は手の中で携帯が共鳴しているのを感じた。
「通話に最大音量を使用」を有効にした際には、共鳴振動とうなり音はさらに大きくなり、より不快に感じた。街中の音が聞こえてくる、どちらかというと騒がしい環境では、筆者は電話に向かって声を張り上げるとともに、通話相手の声に全神経を集中する必要があった。また、通話相手はスピーカーフォンの音に少しエコーがかかっていると述べていた。
サムスンのGALAXY S5では多くの性能向上が実現されており、欠点は非常に少ないものの、それでも向き、不向きがある。「GALAXY S III」を持っているのであれば、GALAXY S5にアップグレードするメリットはあるが、GALAXY S4相当の携帯を持っているのであれば、待つのがお勧めだ。GALAXY S5はほとんどすべてにおいて先代モデルを上回っているが、その性能向上は付加的なレベルにとどまっており、十分すぎるほど優れた携帯電話を捨て去る必要は、通信キャリアとの契約期間がまだ残っているうちは特に、ほとんどないと言えるだろう。
また、競合製品の動きも関係してくる。GALAXY S5は当面、Appleの「iPhone 5s」と、まだ発表されていない「iPhone 6」との競争に直面するはずだ。以前からそうであったように、「iOS」か「Android」かという議論は、ユーザーが携帯電話に何を望むのかに左右され続けるのである。Androidがもたらす多様性と、「考えられ得る機能はすべて搭載する」というサムスンのアプローチを好むのであれば、GALAXY S5を選択することになるだろう。その一方で、iOSのシンプルさを好んでおり、Appleのエコシステムにとどまりたいというのであれば、iPhoneを使い続けることになるはずだ。正直なところ筆者は、Appleの大ファンなのであれば、iPhoneからGALAXY S5に乗り換えるような真似はしないだろうと考えている。
しかし、美しいHTC One M8こそがGALAXY S5の最も手強い競争相手となるはずだ。HTCは宣伝攻勢という点ではサムスンを打ち負かせていないものの、HTC One M8はHTCの素晴らしい職人技と、ビジュアルに優れた独自のAndroidインターフェースを誇っている。また、同製品のスピーカーフォン性能はGALAXY S5のそれを大きく上回ってもいる。音量を最大にして立てた状態で並べてみると、HTC One M8の方はゆとりのある大きく豊かな音となっており、耳障りな感じはほとんどしなかった。背面を背にして寝かせてみると、その音は比較にならず、サムスンのスピーカーフォンは音がこもっていた。
サムスンは、ことカメラについては自らの独壇場であると考えている。さまざまな環境下でより詳細な写真をより自然な色合いで撮影できるだけでなく、同社のセンサは光量の低いところでのパフォーマンスを著しく改善している。また、4K動画の撮影機能は、GALAXY S5には搭載されているが、HTC One M8には搭載されていない(HTC One M8は1080pのHDまでとなっている)。薄明かりの環境下で、GALAXY S5の自動モードで撮影した写真は、HTC One M8で撮影したものよりも真実味にあふれている。HTC One M8で撮影した写真でも十分な満足感は得られるが、どちらかと言えば背景が飛んでしまう傾向にあった。例外を挙げるとすれば、屋内写真だろう。これはいずれの携帯電話も苦戦していたものの、GALAXY S5の画質低下の方が激しかった。
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