Amazon Fire TVのリモコンは、Apple TVとRokuのリモコンを足して2で割ったような形状をしている。そのボタン配列はシンプルであり、リモコン自体は手にしっくりとなじむ素晴らしいかたちとなっている。また、Bluetoothを使用しているため、使用時にボックスの方に向ける必要はない(このため、Amazon Fire TVは赤外線を使用したユニバーサルリモコンでは使用できないという短所がある)。ボタン類は、リモコン上部の目立つ位置に配置された、マイクの絵が描かれた音声検索用のボタンを含め、すべて直感的なものとなっている。
音声検索はAmazon Fire TVの目玉機能の1つとなっており、画面上に表示されたキーボードを使用して文字を入力していくという面倒な方法ではなく、リモコンに搭載されているマイクに向かってしゃべるだけで検索できるようになっている。Amazonはこの機能の実装に力を入れており、Microsoftの「Xbox One」や「Xbox 360」に搭載されている「Kinect」のようにマイクに向かって声を張り上げなくとも、比較的穏やかな声で検索語を口にするだけで正しく認識される。さらに素晴らしいことに、筆者が試してみたところでは、ほとんどの場合において正しい検索が行われた。ただし、映画「コララインとボタンの魔女(原題:Coraline)」の検索は、いくら正確に発音してもだめだった。とは言うものの、ちゃんと動作し、リモコン上の目立つ位置にボタンが配置されている点を考えると、この機能が単なるクールなデモ用のテクノロジではなく、実際に使用できるレベルに仕上がっていると言える。
その反面、音声検索の結果は、ほとんどがAmazon Instantからのものとなるため、いまひとつ有用さに欠けているようだ。Netflixのサブスクリプションユーザーであれば、無料で「ハウス・オブ・カード 野望の階段」の全エピソードを視聴できるにもかかわらず、Amazon Fire TV上でこれを検索するとAmazonからのエピソード購入という選択肢しか表示されない。また、筆者が会員になっていないHulu Plusのコンテンツが検索結果に表示される場合もまれにあり、その時にも代替を探さなければならなかった。Amazonはどうしても自らのコンテンツを前面に押し出したいようだ。
Amazon Fire TVの検索はAmazonのコンテンツに重点が置かれているため、検索語の手入力が必要であるもののプラットフォームを横断した検索が可能なRokuのボックスと比較すると、有用さという点で劣っているように感じられた。
Amazon Fire TVのインターフェースでは、画面の左側に縦に並んだメニューを配置し、画面の右側にカバーアートとアイコンを並べているという点で、Rokuからデザイン上のヒントを数多く得たと言えるだろう。メニューを選択した際の応答性は驚くほど高く、セクション間の移動時にもカバーアートは迅速に表示される。また、若干の制約はあるが、マルチタスク機能も搭載されている。例えば、Netflixアプリから抜け出てホーム画面のメニューにアクセスした後、アプリを再起動せずともNetflixに戻れるようになっている。これは従来のセットトップボックスというよりも、スマートフォンやタブレットのエクスペリエンスによく似ていると感じられる。
メニューの選択肢をざっと見てみると、ある種の傾向に気付くはずだ。Amazon Fire TVでは常に「Prime Instant Video」のコンテンツが中心に据えられ、前面に押し出されている。実際のところメニューの多く(映画やテレビ番組、ウォッチリスト、ビデオライブラリ)ではAmazonのコンテンツしか表示されず、ホーム画面ですらAmazon Prime Instantに最近追加されたコンテンツを宣伝する大きなセクションがあり、Amazonを中心に据えたものとなっている。
ホーム画面のカスタマイズが可能なのであれば、Amazonのコンテンツを中心としたインターフェースになっていても我慢できるかもしれないが、どうやらそうはいかないようだ。例を挙げると、Netflixなどのお気に入りのアプリをホーム画面にピン留めしておくことはできず、必要に応じてアプリメニューから探し出さなければならないのだ。ホーム画面の「Recent」(最近使用したもの)というセクションには、最近使用したアプリ群が表示されるものの、直近にいくつかゲームをプレイしたのであればお気に入りのストリーミングビデオや楽曲は表示されなくなっている可能性もある。
荒削りな部分もまだいくつか残っている。テレビ番組がAmazon Primeで提供されている場合には、その旨を示す明確なバナーが表示されるものの、その多くには視聴ボタンの下に価格も併記されている。この価格は、Amazon Primeの無料ストリーミングに適用されるものではなく、該当エピソードを購入したい場合にのみ適用されるものだということは分かったが、価格を見るたびにAmazonのアカウントに課金されるのではないかと思って気後れしてしまう。
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